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執筆者:古川原

「オフィスを移転・リニューアルしたい」と思っても、独特のスケジュールや特有のルール(B工事・C工事など)に戸惑い、「何から手をつければいいのかわからない」「費用が膨らみそうで不安」という方は多いのではないでしょうか。
オフィス移転を成功させるカギは、全体の流れを把握し、自社に合った信頼できる内装業者をパートナーに選ぶことです。
この記事では、オフィス移転における内装工事のスケジュールや費用相場、よくある失敗例から業者の選び方まで、オーナー様が知っておくべきポイントを分かりやすく解説します。
オフィス移転に伴う内装工事の全体スケジュールと流れ
オフィスの移転を決めてから実際に新オフィスで業務を開始するまでには、最低でも6ヶ月の期間を見ておくのが一般的です。
スケジュールがカツカツになると、業者選びやデザインの妥協につながり、結果として満足のいかないオフィスになってしまうリスクが高まります。
まずは、移転完了までの大まかな流れと各ステップのポイントを確認しておきましょう。
1. 物件選定・契約(移転の6~4ヶ月前)
内装工事の計画は、移転先の物件探しから始まります。
物件を決定(契約)する前に、必ず自社が希望するレイアウトや設備が実現可能かを確認してください。
- 物件選びのチェックポイント
-
- 十分なデスクスペースや会議室を確保できる広さか
- 電気容量やネット回線の引き込みに問題はないか
- ビル側の指定業者(B工事会社)の有無
この段階で、内装工事の予算(概算)も合わせて組んでおくことが大切です。
2. 内装業者の選定・デザイン確定(移転の4~3ヶ月前)
物件の目星がついたら、具体的な内装デザインの企画と業者選びを進めます。
まずは複数の内装業者に問い合わせ、現調(現地調査)を依頼しましょう。
自社の要望(コンセプトや必要な機能)を伝えてデザイン案と見積もりを出してもらい、比較検討します。
デザインやレイアウトが確定したら、正式に内装業者と契約を結びます。
資材の発注や職人の手配には時間がかかるため、遅くとも移転の3ヶ月前には業者を決定しておくのが理想的です。
3. 内装工事の着工・各種申請(移転の2~1ヶ月前)
契約完了後、いよいよ新オフィスの内装工事がスタートします。
工事期間中の主な流れ
- 1. 管理会社への申請
工事届や間仕切り変更届などの書類をビル管理会社へ提出 - 2. 着工
解体工事(必要な場合)、軽鉄・ボード工事(壁の設置)、電気・通信配線工事など - 3. 各種検査
消防署や建築確認に関する検査への対応
特にオフィスの場合は、間仕切り(パーテーション)を新設することで 消防法上の設備(火災報知器やスプリンクラーなど)の増設が必要になるケースが多いため、業者と連携して確実に対応しましょう。
4. 引越し・引き渡し(移転当月)
工事が完了したら、施主立ち会いのもとで「竣工検査(引き渡し前の最終チェック)」を行います。
図面通りに仕上がっているか、傷や施工不良がないかを確認し、問題がなければ引き渡しとなります。
その後、旧オフィスからの什器・PCなどの搬入や引越し作業を行い、新オフィスでの業務がスタートします。
同時に、旧オフィスの原状回復工事(退去費用がかかる工事)も発生するため、新旧両方のスケジュールを重ねて管理しておくことが成功のポイントです。
【坪単価・規模別】オフィス内装工事の費用相場と抑えるポイント

オフィス移転において、最も気になるのが「どれくらいの費用がかかるのか」という点ではないでしょうか。
近年、建築資材の価格高騰や人件費の上昇により、オフィスの内装工事費用も全体的に値上がり傾向にあります。
ここでは、現在のリアルな費用相場と、施主として必ず知っておくべき区分、そして費用を抑えるコツを解説します。
一般的なオフィス内装工事の坪単価相場
現在のオフィス内装工事の坪単価相場は、1坪あたり20万~40万円が目安となっています。
もちろん、選ぶ物件の状態(居抜きかスケルトンか)や、デザインへのこだわりによって前後しますが、規模ごとの総額イメージは以下のようになります。
- 小規模オフィス
-
- 20坪・従業員数10名程度
- 会議室を1室つくり、あとはデスクスペースというシンプルなレイアウトであれば、費用を抑えやすくなります。
- 総額目安: 400万~800万円
- 中規模オフィス
-
- 20~50坪・従業員数15~30名程度
- エントランスのデザインにこだわったり、リフレッシュスペース(休憩室)を設けたりする場合、坪単価は30万~40万円寄りになります。
- 総額目安: 600万~2,000万円
- 大規模オフィス
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- 50坪~・従業員数30名以上
- 会議室の複数設置、役員室、特殊な通信設備環境などが必要になるため、総額は大きく膨らみますが、1坪あたりの単価はスケールメリットで抑えられることもあります。
- 総額目安: 1,500万円~
知っておきたい「B工事」「C工事」の違いとポイント
オフィスの内装工事費用を大きく左右するのが、ビル特有のルールである「工事区分の違い」です。
これを理解していないと、後から思わぬ追加費用が発生してトラブルになるため注意しましょう。
B工事(ビル指定の業者が施工 / 費用は施主負担)
- 対象
- 空調設備、防災設備(スプリンクラー等)、分電盤など、ビル全体の安全性に関わる場所。
- ポイント
- 業者がビル側で指定されているため価格競争が起きにくく、費用が高額になりやすい特徴があります。
C工事(施主が選んだ業者が施工 / 費用は施主負担)
- 対象
- 専有部内の壁(パーテーション)、床(カーペットタイル)、デスクや什器の設置、自社専用の配線など。
- ポイント
- 施主が自由に内装業者を選べるため、相見積もりによるコストダウンが可能です。
物件を契約する前に「どこからどこまでがB工事になるか」をビル管理会社に確認することが重要です。
内装費用を賢く抑えるための3つのコツ
最新の相場が上がっているからこそ、工夫次第でコストを抑えるアプローチが光ります。
1.「居抜き物件」を上手に活用する
前のテナントが残した内装や設備(パーテーションや空調など)を引き継げる居抜き物件を選べば、ゼロから工事を行うスケルトン物件に比べて大幅に初期費用を削減できます。
2. パーテーションの素材を見直す
会議室などを仕切る際、デザイン性の高いガラスや遮音性の高いスチールは費用が高くなります。
人目に触れにくいバックヤードなどはアルミパーテーションや造作壁にするなど、場所によって素材を使い分ける(メリハリをつける)のが有効です。
3. 内装業者のマッチングサービスを利用して相見積もりをとる
C工事の部分に関しては、最初から1社に絞らず、複数の内装業者から提案と見積もりをもらう相見積もりが鉄則です。
デザインセンスを比較できるだけでなく、適正価格での発注につながります。
オフィス移転の内装工事でよくある失敗例と対策

オフィスの内装工事は、一般的な住宅や店舗と違って、多くの社員が毎日働きビジネスを行う場所を作る工事です。
そのため、事前の計画不足によって「使いにくい」「予想外の出費が出た」といった後悔が生まれやすい傾向にあります。
ここでは、特によくある3つの失敗例とその対策を紹介します。
【失敗例1】レイアウト優先でコンセントや配線が足りない
見栄えやデスクの配置(レイアウト)ばかりに気を取られ、いざ業務を始めると「デスクの近くにコンセントがない」「LANケーブルが届かない」といったトラブルが多発します。
結果として床が延長コードだらけになり、見た目が悪くなるだけでなく、足を引っ掛ける原因にもなります。
- これで解決!対策ポイント
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- 「少し多すぎるかな」と思うくらいの位置・数で配線計画を立てる。
- 将来的な増員や、コピー機・プロジェクターなどの周辺機器の位置も想定しておく。
- 配線を床下に収納できる「OAフロア(フリーアクセスフロア)」の導入を検討する。
【失敗例2】スケジュールがカツカツで納期が間に合わない
「移転日(現オフィスの退去日)」だけを決めて動き出し、内装業者との打ち合わせや資材の手配が遅れてしまうケースです。
工事が終わっていないのに引越し日を迎えてしまい、仮事務所の手配や、現オフィスの退去延期による二重家賃が発生するなど、大きな損失につながります。
- これで解決!対策ポイント
-
- 前の章のスケジュールでも触れた通り、移転の6ヶ月前には物件選びと業者探しを開始する。
- 特に春や秋などの「引越し・移転の繁忙期」や、近年は資材の納品遅れが発生しやすいため、バッファ(予備期間)を1ヶ月ほど見ておく。
【失敗例3】退去時の「原状回復費用」を考えていなかった
現在のオフィスを退去するときはもちろん、「今回新しく入るオフィスを、将来退去するときのこと」まで考えて内装を作らないと、のちに大失敗します。
例えば、部屋を細かく区切るために頑丈な造作壁をたくさん作ってしまうと、退去時の解体(原状回復)費用が跳ね上がってしまいます。
- これで解決!対策ポイント
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- 会議室などの仕切りには、解体や移設がしやすい「アルミパーテーション」や「スチールパーテーション」を上手に活用する。
- 今回入居する物件の契約書で「原状回復の条件」を事前に確認し、内装業者にも共有しておく。
信頼できるオフィス内装業者の選び方
オフィスの内装工事を成功させられるかどうかは、パートナーとなる内装業者選びにかかっていると言っても過言ではありません。
しかし、世の中には数多くの施工会社が存在するため、「何を基準に選べばいいのかわからない」と迷ってしまうオーナー様も多いはずです。
大切な予算と時間を無駄にしないために、以下の3つのポイントを基準に業者を見極めましょう。
オフィス・商空間の実績が豊富な会社を選ぶ
内装業者と一口に言っても、戸建て住宅が得意な会社、アパレルなどの物販店が得意な会社など、強みはそれぞれ異なります。
オフィス内装には「働く動線」「ビジネス用の配線」「消防法やビルごとのルールへの対応」といった専門知識が不可欠です。
そのため、必ず「オフィスや商業空間を手掛けた実績」がホームページなどに豊富に掲載されている会社を選んでください。
過去の実例を見ることで、自社が目指したいデザインのテイストとマッチしているかも確認できます。
自社の要望に対して+αの提案力があるか
優れた内装業者は、施主から言われた通りの図面を引くだけでなく、「それなら、こうした方がさらに働きやすくなりますよ」「この素材を使えば、デザイン性を落とさずにコストを抑えられます」といったプロならではの+αの提案をしてくれます。
打ち合わせの段階で、こちらの意図を汲み取ろうとしてくれるか、レスポンスは早いかといったコミュニケーションの質もしっかりチェックしておきましょう。
複数社への「相見積もり」で比較検討する
業者選びで最も避けたいのは、最初に出会った1社だけで決めてしまうことです。
特にオフィスの内装は定価がないため、1社だけではその見積もりが適正価格なのか判断できません。
最低でも2~3社へ相見積もりを依頼し、以下のポイントを比較しましょう。
- 金額が総額のみの記載になっていないか、また明細が「一式」ばかりになっていないか
- 自社のコーポレートカラーや理想の働き方に合ったデザイン案か
複数社を比較することで相場観が養われ、費用面でもデザイン面でも納得のいく業者を選ぶことができます。
理想のオフィス移転は最適なパートナー選びから
オフィス移転に伴う内装工事は、単に見栄えを良くするだけでなく、社員のモチベーションや業務効率、さらには企業のブランディングにも直結する一大プロジェクトです。
現在の資材・人件費の高騰を踏まえると、坪単価20万~40万円という最新の相場感を意識しつつ、 以下のポイントを確実に押さえていくことが成功への近道となります。
- 移転の6ヶ月前から余裕を持って動き出す
- ビル特有のルールである「B工事・C工事」の範囲を事前に確認する
- 配線や将来の増員を見据え、レイアウトの失敗対策を先回りで行う
- オフィス・商空間の実績が豊富な業者を見極める
そして、これらすべてをクリアするために最も重要なのが、複数社への相見積もりを行い、自社にとって最適なパートナーを見つけることです。
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記事の監修・執筆者
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株式会社ライフワン 古川原
所有資格:2級建築士、第2種電気工事士、石綿作業主任者、一般建築物石綿含有建材調査者
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店舗設計施工.com運営担当の古川原です。施主様、設計施工会社様にも満足いただけるよう皆様をサポートさせていただきます。
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