投稿日:/最終更新日:
この記事は約3分で読めます
記事の監修・執筆者:古川原

店舗を開業、または移転・改装する際、物件探しで必ず耳にするのが「居抜き」と「スケルトン」という言葉です。
「できるだけ初期費用を抑えたいから居抜きにしよう」
「こだわりの内装にしたいからスケルトンかな」
というように、なんとなくのイメージで選んでしまうと、後から「思っていたより追加の工事費用がかかって予算オーバーしてしまった…」という手痛い失敗を招きかねません。
この記事では、店舗開業・改装を検討しているオーナー様に向けて、居抜きとスケルトンの根本的な違い、メリット・デメリット、費用相場を徹底比較。
さらに、あなたのお店にはどちらが向いているのかの判断基準まで分かりやすく解説します。
「居抜き」と「スケルトン」の根本的な違いとは?
まずは、居抜き物件とスケルトン物件の最も大きな違いについて、全体像をパッと把握しましょう。
ひと目でわかる!居抜きとスケルトンの比較
横にスクロールできます →
| 比較項目 | 居抜き物件 | スケルトン物件 |
|---|---|---|
| 物件の状態 | 前のテナントの内装や設備が残っている | 壁・床・天井がなく、コンクリート剥き出し |
| 初期費用 | 低く抑えやすい | 高くなりやすい |
| 工事期間(工期) | 短い(最短数週間~) | 長い(3ヶ月~半年程度) |
| デザインの自由度 | 低い(既存のレイアウトに縛られる) | 非常に高い(1から自由につくれる) |
| 退去時の原状回復 | 原則、そのまま引き継ぐ(要確認) | スケルトン(解体)に戻して返却 |
居抜き物件とは?
居抜き物件とは、前のテナントが使っていた内装、レイアウト、厨房機器、空調、トイレなどの設備がそのまま残された状態の物件を指します。

居抜き物件のメリット
- 初期費用を圧倒的に抑えられる
- 厨房設備や空調など、高額なインフラ投資がそのまま使えるため、内装工事費を大きく削減できます。
- スピード開業が可能
- 1から工事をする必要がないため、物件契約からオープンまでの期間を大幅に短縮できます。
居抜き物件のデメリット
- 自由なレイアウトが難しい
- 既存の壁の位置や配管に縛られるため、自分の理想通りの動線やデザインにできないことがあります。
- 隠れたトラブルのリスク
- 「引き渡されて動かしてみたら、エアコンや冷蔵庫がすぐに壊れた」といった、機器の老朽化リスクが伴います。
スケルトン物件とは?
スケルトン物件とは、内装や設備が一切なく、建物の構造体(コンクリートの床・壁・天井など)が剥き出しになった状態の物件を指します。

スケルトン物件のメリット
- デザイン・レイアウトが100%自由
- 仕切り壁の位置から客席の数、厨房の配置まで、コンセプトに合わせて完全にオリジナルの空間をつくることができます。
- 設備の不具合リスクが低い
- 配管や電気配線をすべて新品で新設するため、開業後の目に見えないインフラトラブルが起こりにくいです。
スケルトン物件のデメリット
- 内装工事費(初期費用)がかかる
- 床や天井を張り、電気・ガス・水道の引き込み工事をゼロから行うため、数百万~数千万円単位のまとまった資金が必要です。
- 開業までに時間がかかる
- 設計・デザインの打ち合わせから、実際の解体・造作工事まで多くの工程を挟むため、家賃が発生してからオープンするまでの期間が長くなります。
気になる「費用」と「工期」の差を徹底比較!
物件選びの判断軸として、多くのオーナー様が最も重視するのがお金(費用)と時間(工期)です。
ここでは、具体的な数値や坪単価の目安を交えながら、両者の違いを深掘りしていきます。
【費用相場】坪単価で見る内装工事費の差
店舗の業態(飲食店、美容室、物販店など)によっても変動しますが、一般的な内装工事費の坪単価の目安は以下の通りです。
居抜き物件の相場:坪30万~70万円
すでに床・壁・天井があり、厨房機器やトイレなどの設備をそのまま活かせるため、表面的な改装(クロスの張り替えや一部の塗装、サイン工事など)だけで済む場合は、比較的費用を抑えられます。
スケルトン物件の相場:坪60万~100万円以上
何も無い空間に、電気・ガス・水道の配管を張り巡らせ、床を上げ、壁を立てる基礎工事からスタートします。
特にダクト(排気)やグリーストラップの設置が必要な飲食店では、坪100万円を超えるケースも珍しくありません。
仮に10坪の物件で計算した場合、居抜きなら400万~600万円で済むところが、 スケルトンでは700万~1200万円以上の資金が必要になるという、大きな差が生まれます。
\内装費用の相場を知りたい方はこちら!/
【工期】オープンまでに必要な期間の差
物件を契約してから実際にオープンするまでの期間(工期)も、毎月の家賃(空家賃)を左右する重要なポイントです。
居抜き物件:約1ヶ月~2ヶ月
大きな解体工事やインフラ工事が不要なため、デザインの打ち合わせも短期間で終わり、工事自体は数日~数週間で完了することもあります。
契約後、すぐに営業を開始して利益を上げたい場合に有利です。
スケルトン物件:3ヶ月~6ヶ月程度
ゼロから設計図面を起こすため、デザイナーや設計士との打ち合わせに1~2ヶ月。
そこから役所や消防署への申請手続き、実際の着工から引き渡しまでにさらに2~4ヶ月以上かかります。
こだわりの店舗をつくるための「準備期間」として、半年近くの余裕を見ておく必要があります。
【要注意】「居抜き=必ず安い」とは限らない!隠れた罠
「じゃあ、絶対に居抜きのほうが得だ」と結論を急ぐのは禁物です。
居抜き物件には、一見安そうに見えて実はコストが跳ね上がる隠れた罠が存在します。
1. 造作譲渡料(ぞうさくじょうとりょう)の存在
居抜き物件では、前のオーナーから内装や厨房機器を買い取るための「造作譲渡料」が発生することが一般的です。
これが150万円、300万円などと設定されている場合、物件取得費の初期投資がその分膨らみます。
設備容量(電気・ガス・水道)の不足
例えば、前テナントが「カフェ」だった物件で、新しく「本格的な中華料理店」を開こうとするケースです。
中華料理で使う強力な火力や、大型冷凍庫を動かすための電気・ガスの容量が足りず、ビル全体の幹線から引き込み直す大掛かりな追加工事が発生し、 結果的にスケルトンからつくるのと変わらない費用がかかってしまうことがあります。
残置物の撤去費用
引き継いだものの、自分のお店では使えない古い家具や壊れた機器がある場合、 それらを処分するための「解体・処分費用」はすべて新しいオーナー(あなた)の自己負担になります。
あなたはどっち?タイプ別・おすすめ物件の選び方
居抜きとスケルトン、それぞれの特徴やコストの違いを踏まえた上で、「結局、自分のお店にはどちらが良いのだろう?」と迷ってしまいますよね。
ここでは、それぞれの物件が向いているオーナー様の共通点を、タイプ別に分かりやすく解説します。
「居抜き物件」が向いている人の特徴
居抜き物件を選ぶ最大のメリットは、コストと時間の削減です。
以下のような条件に当てはまる方は、居抜き物件を中心に探すのがおすすめです。
前テナントと「同業態」での出店を考えている
最も居抜きの強みを活かせるパターンです。
「カフェの跡地にカフェを開く」「美容室の跡地に美容室を開く」といった場合、カウンターの配置やシャンプー台の配管などをそのまま流用できるため、内装費用を極限まで抑えられます。
とにかく初期費用を抑えて、早期に黒字化したい
開業資金に限りがある場合、内装工事に予算を割きすぎると、オープン後の運転資金(手元資金)が目減りしてしまいます。
設備投資を抑え、その分を運転資金や広告宣伝費に回して、スピーディーに軌道に乗せたいスモールビジネスのオーナー様に最適です。
ターゲットや立地を重視し、内装にはある程度妥協できる
「駅から徒歩2分の一等地」など、立地条件が抜群の物件であれば、多少内装が自分の理想と違っていても、看板の変更やクロス(壁紙)の張り替えなどの部分的なリフォームで割り切って出店する価値があります。
「スケルトン物件」が向いている人の特徴
一方、スケルトン物件はこだわりを形にするためのキャンバスです。
次のような強い目的がある場合は、スケルトン物件一択となります。
ブランドの世界観やコンセプトを完璧に表現したい
「一歩足を踏み入れた瞬間に非日常を味わえる空間にしたい」「独自のブランドカラーを全面的に出したい」など、デザインに一切の妥協をしたくない場合です。
既存の壁や床があるとそれが邪魔になってしまうため、ゼロからつくれるスケルトンが適しています。
業務効率を徹底した理想の動線を組みたい
スタッフの動きやすさ(作業動線)や、お客様の居心地の良さ(客席動線)は、店舗の売上やリピート率に直結します。
厨房の広さやカウンターの位置、席数、トイレの配置まで、計算し尽くした効率的なレイアウトを実現したいならスケルトンしかありません。
前テナントと全く異なる業態で出店する
「オフィスやアパレル店の跡地に、飲食店を開く」というようなケースです。
この場合、飲食店に必要な給排水の太い配管や、強力な換気ダクト、ガス容量などが元々備わっていません。
どのみち床を剥がしてインフラ工事をゼロから行う必要があるため、最初からスケルトンの物件を選んだ方がスムーズです。
ぴったりの内装業者と出会える!
- 完全無料
- 最短当日
- 審査済み
登録業者 - しつこい
営業なし
たった
1分
無料で相談してみる
後悔しないために!物件契約・内装工事のチェックポイント
「良さそうな物件が見つかったから、すぐに契約しよう!」と焦ってしまうのは非常に危険です。
居抜きにせよスケルトンにせよ、契約書にサインをする前に必ずプロの視点で確認すべき重要なポイントがあります。

居抜き物件で確認すべき「インフラ」と「契約内容」
居抜き物件は「前の設備がそのまま使える」のが魅力ですが、それゆえの確認事項が山積みです。
1. 厨房機器や空調が「譲渡」か「リース」か
残されているエアコンや冷蔵庫などの機器が、前のオーナーからそのままもらえるもの(譲渡)なのか、それともまだ支払いが残っているリース品なのかを必ず確認してください。
もしリース品であれば、その契約(毎月の支払い)をあなたが引き継ぐのか、前のオーナーに解約してもらうのかを取り決める必要があります。
2. 機器の動作確認と保証の有無
引き渡し前に、実際に電気やガスを通してみて「エアコンから冷風が出るか」「冷蔵庫は冷えるか」をチェックしましょう。
居抜き物件の設備は原則として「現況渡し(保証なし)」が多いため、オープン直後に壊れても自己負担で修理することになります。
3. 原状回復義務の範囲
あなたが退去するとき、どこまでお店を戻さなければいけないかを賃貸借契約書で確認します。
「入居したときの居抜きの状態に戻せばいいのか」、それとも「全て解体してスケルトンにして返さなければいけないのか」によって、将来退去するときのコスト(数百万円の差)が大きく変わります。
スケルトン物件で確認すべき「A工事・B工事・C工事」の区分
スケルトン物件で最もトラブルになりやすいのが、工事費用の「誰が払うの?」という区分です。
商業ビルなどでは、工事が以下の3つに分類されています。
A工事(オーナー負担 / オーナー指定業者が施工)
建物の外壁やサッシ、共用階段など、ビル全体の資産に関わる工事です。基本的には施主が費用を払うことはありません。
B工事(施主負担 / オーナー指定業者が施工)
ここが一番の要注意ポイントです。
スプリンクラーや火災報知器などの防災設備、空調、給排水の基幹部分の移動など、ビル全体に影響を及ぼす工事です。
費用を払うのは「施主(あなた)」ですが、業者はビルの指定業者が指定されるため、相見積もりが取れず、工事費用が高額になりがちです。
C工事(施主負担 / 施主指定業者が施工)
店舗内の内装デザイン、照明、家具、什器など、あなた自身が選んだ内装会社と自由に見積もり・施工ができる工事です。
物件を借りる前に、「どこからどこまでがB工事(オーナー指定)になるのか」をビルの管理会社にしっかりと確認しておかないと、内装の予算組みが大きく狂ってしまう原因になります。
まとめ:理想の店舗を作るには、信頼できる内装会社選びから
店舗の開業・改装を成功させるための大きな分岐点となる居抜きとスケルトンの選択。
最後に、それぞれの特徴をおさらいしましょう。
初期費用とスピードを最優先し、前テナントと同業態で出店するなら「居抜き物件」
デザインや間取り、動線に100%こだわり、独自のブランドをゼロから築くなら「スケルトン物件」
どちらが良い・悪いではなく、あなたの予算・コンセプト・スケジュールにどちらが合致しているかが重要です。
失敗しない最大のコツは「物件を借りる前にプロに見せること」
「居抜きだから安いはず」
「スケルトンだけどこれくらいの広さなら予算内に収まるだろう」と、
オーナー様だけの判断で物件を契約してしまうのはリスクが伴います。
一番確実なのは、物件を本契約する前の段階で、プロの内装設計・施工会社に現地を同行(内見)してもらうことです。
プロの目で見てもらえば、
「この居抜き物件はエアコンの交換が必要だから、追加で100万円かかりますよ」
「このスケルトン物件はB工事の範囲が広いので、見積もりより高くなる可能性があります」
といった、契約前には見えなかったリアルなコストやリスクを事前に教えてもらうことができます。
あなたの理想の店舗を形にするパートナーを見つけよう
居抜き・スケルトンのどちらを選ぶにしても、最終的な出店コストやお店の仕上がり、そして開業後の使いやすさは、依頼する内装会社の手腕に大きく左右されます。
しかし、数ある内装会社の中から、自分の業態(飲食店、美容室、物販など)に強みがあり、予算に寄り添ってくれる信頼できる会社を自力で探すのは、時間も労力も必要です。
店舗内装特化のマッチングサービス「店舗設計施工.com」なら、あなたの作りたい店舗のコンセプトや予算を入力するだけで、実績豊富な内装設計・施工会社を無料で比較・マッチングすることができます。
「まずはいくらかかるか見積もりを比較したい」
「物件探しの段階から一緒に相談に乗ってほしい」
そんなオーナー様は、ぜひお気軽に店舗設計施工.comをご活用いただき、理想の店舗づくりへの第一歩を踏み出してみてください!
ぴったりの内装業者と出会える!
- 完全無料
- 最短当日
- 審査済み
登録業者 - しつこい
営業なし
たった
1分
無料で相談してみる
記事の監修・執筆者
-

-
株式会社ライフワン 古川原
所有資格:2級建築士、第2種電気工事士、石綿作業主任者、一般建築物石綿含有建材調査者
-
店舗設計施工.com運営担当の古川原です。施主様、設計施工会社様にも満足いただけるよう皆様をサポートさせていただきます。
コラムでは皆様の出店・開業に役立つ情報を発信していますので、当サービス内容も併せてぜひご覧ください!









