いくらかかる?飲食店の開業資金。平均相場や調達方法、節約するコツを解説

投稿日:/最終更新日:
この記事は約3分で読めます
記事の監修・執筆者:古川原

いくらかかる?飲食店の開業資金。平均相場や調達方法、節約するコツを解説

飲食店を開業するための資金はいくら必要なのか、平均相場はどれくらいなのか知りたいですよね。
工事が始まってから資金が足りなくなったら…とか、予想していなかった出費に対応するにはどうしたらいいか…とか、色々不安は尽きないと思います。
少しでも皆さんの不安を和らげるため、飲食店の開業資金の平均相場と調達方法、節約するコツについて解説します。

お店と設計施工会社をつなぐサービス、
店舗設計施工.com

飲食店の開業資金の平均相場

飲食店の開業資金の平均はいくらくらいでしょうか。日本政策金融公庫が毎年行っている「新規開業実態調査」によると、2022年度の開業費用の平均値は1,077万円、中央値は550万円でした。
2021年度の平均値は941万円、2020年度は989万円だったので、ここ数年でみると100万円程度上がっていますが、20年前の平均値1,538万円と比べると500万円ほど下がっています。

2022年度の開業費用の平均値

参考:日本政策金融公庫「2022年度新規開業実態調査」[PDF]

開業費用の内訳

飲食店を開業するためには、何にどれくらいお金がかかるのかも知っておきましょう。開業資金の代表的なものとして、物件取得費、店舗投資費、運転資金、生活資金があります。

1.物件取得費

物件を取得するためにかかる費用のこと。大家さんに支払う保証金(敷金)・礼金・家賃、不動産業者に支払う仲介手数料、そして前のテナント店から内外装や設備などを引き継いで使用する場合は造作譲渡料等がかかります。
目安として物件取得費は家賃の10倍くらいをイメージしておくと良いでしょう。たとえば家賃が30万円なら物件取得費は300万円です。

2.店舗投資費

物件を取得したら今度は内外装工事や設備の購入にお金がかかります。内装工事にはデザイン・設計費、仮設・解体工事費、造作工事費、設備工事費、電気・ガス・水道工事費、空調工事費などが含まれます。
居抜き物件であっても全く改装せずに使うわけにはいきませんので、内装工事は必要です。飲食店の内装工事費用のおおまかな相場は居抜き物件で坪単価30~60万円程度、10坪のお店なら300万~600万円くらい必要でしょう。
また、骨組みのみのスケルトン物件の場合は内装を一から作り上げる必要があるため、居抜き物件よりも工事費が高くなります。スケルトン物件の内装工事費用の相場は坪単価50~80万円程度です。

3.運転資金

開業したら、お店を運営するための運転資金が必要になります。お店が軌道に乗るまでに3か月程度はかかると見て、3か月分の運転資金を用意しておきましょう。
運転資金には、賃料、人件費、光熱費、仕入れ費用のほかに、チラシやWEBサイトの制作費といった販促費、備品や通信費などが含まれます。

4.生活資金

お店がオープンしてもすぐに店舗の利益だけで生活できるようになるのは難しいため、当面の生活費も用意しておくと安心です。家族全員分の生活費を3~6か月分ほど開業資金として組み込んでおきましょう。

開業資金の調達方法

飲食店を開業するためには1,000万円程度の資金が必要ですが、そのすべてを自己資金から出す必要はありません。
日本政策金融公庫の調査によると、2022年度の開業資金の調達先は「自己資金」が平均271万円(平均調達額に占める割合は同21.3%)、「金融機関等からの借入」が平均882万円(同69.2%)となっています。
多くの人が開業資金の大部分を金融機関からの借入でまかなっていることが窺えます。

開業資金の調達方法

参考:日本政策金融公庫「2022年度新規開業実態調査」[PDF]

また補助金や助成金を開業資金として利用する方法もありますが、利用するためにはいくつかの注意点があります。
まず、審査がある点。それから、補助金や助成金は「実際にかかった経費の一部を支給するための制度」であることから、原則として後払いになる点です。
入金されるまでに1年くらいかかる場合もありますので、開業資金の元手として補助金や助成金を使うことはできません。

補助金や助成金は審査に通れば返済や利息の支払いが不要になるため、開業後の資金としてうまく活用するのがおすすめです。

補助金・助成金についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
飲食店開業の際に知っておきたい、補助金・助成金【2023年版】

開業資金を節約するコツ

開業資金を少しでも抑えたい場合は、以下の方法で節約できないか検討してみてください。

1.居抜き物件を借りる

居抜き物件とは、前のテナントの設備や内装、家具などがそのまま再利用できる物件のことです。同じ業種のお店ならば内外装工事費用を安く抑えられるほか、工期も大幅に短縮できるというメリットがあります。
ただし、家具や設備の状態が悪い場合は修理費用などが想定外にかかってしまうケースも。また前のテナントが業績不振などで閉店した場合、悪いイメージがついてしまっていることもあるので、よく見極めて契約する必要があります。

2.中古の設備を購入する

新品だと高額になりがちな厨房機器なども、中古なら安く抑えられます。新品でなくても大丈夫なものは、中古設備を探してみましょう。

厨房機器イメージ

3.リース契約をする

厨房機器をリース契約すれば初期費用を抑えることができます。一括で購入すれば100~200万円程度かかる厨房設備費用を、リース会社に毎月数万~十数万円支払うことで使用することができます。
ただし、リース契約には手数料が加算されていますので、購入するより割高です。また廃業しても残債を支払う必要があります。

4.内装工事を自分で行う

大がかりな工事は無理でも、天井や床、壁、家具の塗装などは自分でDIYすることも可能です。最近では動画でDIYのやり方を紹介したり、ホームセンターなどで本格的なDIY商材を買いそろえたりできますので、それらを活用して自分でチャレンジしてみるのもおすすめです。
ただし、電気・ガス・水道の工事などは資格が必要な場合がありますので、プロに依頼しましょう。

こちらの記事も参考にしてください。
内装工事の費用と内訳、コストを安く抑えるためのポイント

まとめ

飲食店の開業資金の相場は1,000万円程度ですが、すべてを自己資金で用意する人は全体の2割程度で、ほとんどの人が日本政策金融公庫や民間の銀行等から融資を受けています。また補助金や助成金なども活用できます。
色々な開業資金の調達方法を知っておくことが資金不足の不安を解消しますので、安心して開業準備に臨んでください。

お店と設計施工会社をつなぐサービス、
店舗設計施工.com

記事の監修・執筆者

  • 株式会社ライフワン 古川原

    保有資格:
    2級建築士
    第2種電気工事士
    一般建築物石綿含有建材調査者
    石綿作業主任者

    記事の監修・執筆者近影

    店舗設計施工.com運営担当の古川原です。施主様、店舗デザイン・内装工事・建築工事会社様にも満足いただけるよう皆様をサポートさせていただきます。
    コラムでは皆様の出店・開業に役立つ情報を発信していますので、当マッチングサービス内容も併せてぜひご覧ください!

    店舗設計施工.comとは

店舗開発・施設管理に役立つコラム

TOP