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記事の監修・執筆者:古川原

建物の安全性や耐久性を大きく左右する「基礎工事」。しかし「どんな種類があるのか」「どんな工程で進むのか」まで詳しく理解している方は多くありません。
基礎の品質は建物の安全性だけでなく、設備の安定稼働や将来的な改装のしやすさにも大きく関わります。
そこで本記事では、店舗建築における基礎工事の「種類」を紹介するとともに、工程と流れを事業者目線でわかりやすく解説します。
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基礎工事とは?建物を支える重要な役割
基礎工事とは、建物と地盤をつなぐ土台部分を構築する工事のことです。建物の荷重や地震の揺れを地盤に伝える役割があり、施工品質が不十分だと、傾きやひび割れといった不具合の原因になります。
店舗の場合はさらに、以下のような観点でも重要です。
- 厨房機器や大型什器の重量に耐えられるか
- 振動が発生する設備(空調・冷凍機など)に対応できるか
- 将来的なレイアウト変更に対応できるか
そのため、単に「建物を支える」だけでなく、店舗運営を支えるインフラとして基礎工事を考える必要があります。
基礎工事の種類
基礎工事にはいくつかの種類があり、地盤の強さや建物の構造によって使い分けられます。
杭基礎(くいきそ)
杭基礎とは、深さ数メートルの地面に杭を打ち込み、その上に基礎を造る工事のこと。地盤が軟弱な場合に行われる工事で、地盤の液状化を防ぎ建物を安定させることができます。
都市部のテナントビルや大型商業施設などで多く用いられ、重量のある設備を設置する場合にも適しています。ただし、施工コストや工期は比較的高くなる傾向があります。
杭基礎に使われる杭は「支持杭(しじくい)」と「摩擦杭(まさつぐい)」の2種類があります。
- 支持杭:硬い地盤(支持層)まで根入れする長い杭。支持層までの地盤が軟弱で摩擦力が期待できない場合に用いられます。杭の先端は支持層まで打ち込みます。
- 摩擦杭:杭に節がついており、摩擦抵抗によって建物を支える杭。支持層までの間に中程度の地層がある場合などに用いられます。杭の先端は支持層まで打ち込みません。
ベタ基礎
建物の底面全体をコンクリートで覆う工法で、面で荷重を分散できるのが特長です。
小規模〜中規模の店舗(ロードサイド店舗や単独店舗)で多く採用されており、耐震性と耐久性のバランスに優れています。厨房機器など重量物がある業種でも対応しやすいのがメリットです。
また湿気が建物に伝わりにくく白アリなどの被害も低減できますが、コンクリートの使用量が多くなるためコストはかかります。

布基礎(ぬのきそ)
地面に逆T字型の鉄筋コンクリートを打ち込んで建物を支える工法で、ベタ基礎よりもコストは抑えられます。布基礎という名前ですが布を使うわけではなく、コンクリートで基礎を造り「点」で支えるのが特徴です。
軽量な店舗や、地盤が安定している場合に適していますが、重量設備が多い業態では慎重な検討が必要です。
独立基礎(どくりつきそ)
主要な柱の下だけに基礎を造る工法で、接地面が小さいため地盤の強度が高い土地で採用されます。コストが安く抑えられるため、マンションなど大規模な建築物で採用されることが多い基礎です。
基礎工事の工程・流れ
基礎工事は複数の工程を経て進められ、各工程の精度が最終的な品質を左右します。
1.地盤調査
まずは地盤の強度や性質を調査します。建物を建てる前に、その地盤がどれくらいの重みに耐えられるのか、どの程度沈下に耐えられる力を持っているのかを調べます。
地盤調査にかかる時間は半日~数日程度、費用は調査方法によって異なりますが、一番安価なスウェーデン式サウンディング試験で数万円程度~となっています。
2.地縄張り(じなわばり)・遣り方(やりかた)
地縄張りとは、地面の上に縄(ビニール紐)を張って建物のおおよその位置を示す作業のこと。地縄張りをすることで境界までの距離を目で確認することができます。
地縄張りが済んだら次は遣り方です。地縄張りよりも50cm~1mほど外側に杭を打ち、基礎の高さなど図面の情報をもとに仮設物を造ります。遣り方は建物の正確な位置を決めるための重要な作業となります。
3.掘削(くっさく)工事(根切り)
パワーショベルなどを使って地面を掘り起こす作業のことで「根切り」とも呼ばれます。
基礎工事の種類のよって掘り起こす範囲が変わります。
4. 砕石(さいせき)敷き・転圧
掘削したあとに砕石(細かくくだかれた石)を敷き詰め、ランマーで地盤を固めます。この作業は建物の重みで地盤沈下が起こるのを防ぐ役割があります。
振動機器を使用する店舗では特に重要な工程です。
5.捨てコンクリート
地盤を固めたら湿気を防ぐ防湿シートを敷き、基礎の外周部分にコンクリートを5cmほど流し込みます。
このコンクリートは職人が作業しやすいように印をつけるために流すもので、建物の強度には直接関係しないことから「捨てコンクリート」と呼ばれています。
6.配筋工事
鉄筋コンクリートで基礎を造るために、格子状の鉄筋を組み立てます。これが配筋です。
配筋は基礎の強度や寿命などにも関わるため、建築基準法で細かくルールが決められています。

7.型枠を組んでコンクリートを流し込む
設計図に沿って型枠を組み立てます。そしてアンカーボルトという部材を設置し、基礎と建物の構造材をつなぎます。
型枠の中にコンクリートを流し込み、固めます。
8.養生・仕上げ
コンクリートを乾燥・硬化させ、十分な強度が出るまで養生します。その後、型枠を外して基礎が完成します。
店舗の基礎工事で失敗しないためのポイント
店舗特有の視点で、以下の点は必ず押さえておきましょう。
重量設備を前提に設計する
店舗では厨房機器や冷蔵設備など、想定以上に荷重がかかるケースがあります。後から補強するのは難しいため、事前設計が重要です。
設備計画と連動させる
排水・給排気・電気配線などは基礎段階で計画する必要があります。内装設計と分断されていると、やり直しや追加工事の原因になります。
将来の改装も見据える
店舗は将来的に業態変更やレイアウト変更が発生しやすいため、柔軟性のある設計にしておくと長期的なコスト削減につながります。
まとめ
基礎工事は、店舗づくりにおいて見えにくいながらも非常に重要な工程です。
基礎の種類は地盤や用途によって適切に選定され、工程ごとの精度が建物の安全性や使い勝手を左右します。特に店舗の場合は、設備や運営を見据えた基礎設計が欠かせません。
出店や建て替えを検討する際は、内装だけでなく基礎工事の内容にも目を向けることで、長く安心して使える店舗づくりにつながるでしょう。
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記事の監修・執筆者
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株式会社ライフワン 古川原
所有資格:2級建築士、第2種電気工事士、石綿作業主任者、一般建築物石綿含有建材調査者
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