基礎工事はなぜ必要?店舗開業のために知っておきたい基礎工事の種類と工程・流れ

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記事の監修・執筆者:古川原

基礎工事はなぜ必要?店舗開業のために知っておきたい基礎工事の種類と工程・流れ

店舗の建物を一から造りたい場合は、基礎工事に関する知識も持っておくと良いでしょう。基礎工事についてある程度知っておけば、施工業者や建築士とのやり取りもスムーズに行えます。
基礎工事は何のために行うのか、どのような工事の種類があるのか、流れはどうなるのかなど、基礎工事に関する情報をまとめました。

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基礎工事とは

基礎工事とは、建物と地面のつなぎ目となる「基礎(土台)」を造るための重要な工事です。基礎工事がいい加減だと、地震や地盤沈下によって建物が倒壊するなど大きな被害が出る可能性があります。
基礎工事は、まず地盤を調査し、地盤の強度に合った工事を行います。基礎工事は大きく分けて「杭基礎」と「直接基礎」の2つに分類されます。

地盤が柔らかく軟弱な場合…杭基礎

地盤が比較的固くてしっかりしている場合…直接基礎

さらに、②の直接基礎には「ベタ基礎」「布基礎」「独立基礎」の3種類があります。それぞれ詳しく解説します。

基礎工事の種類

1.杭基礎(くいきそ)

杭基礎とは、深さ数メートルの地面に杭を打ち込み、その上に基礎を造る工事のこと。地盤が軟弱な場合に行われる工事で、地盤の液状化を防ぎ建物を安定させることができます。
杭基礎に使われる杭は「支持杭(しじくい)」と「摩擦杭(まさつぐい)」の2種類があります。

支持杭硬い地盤(支持層)まで根入れする長い杭。支持層までの地盤が軟弱で摩擦力が期待できない場合に用いられます。杭の先端は支持層まで打ち込みます。

摩擦杭…杭に節がついており、摩擦抵抗によって建物を支える杭。支持層までの間に中程度の地層がある場合などに用いられます。杭の先端は支持層まで打ち込みません。

2.ベタ基礎

直接基礎の一種。建物の土台となる範囲にコンクリートを敷き詰めて、面で建物を支える工法です。
地震に強く、建物の重みで地盤が沈む不同沈下も防ぐことができます。
また湿気が建物に伝わりにくく白アリなどの被害も低減できますが、コンクリートの使用量が多くなるためコストはかかります。

ベタ基礎

3.布基礎(ぬのきそ)

直接基礎の一種。地面に逆T字型の鉄筋コンクリートを打ち込んで建物を支える工法です。布基礎という名前ですが布を使うわけではなく、コンクリートで基礎を造ります。ただし、ベタ基礎のように面で支えるのではなく「点」で支えるのが特徴。
ベタ基礎よりもコストは抑えられますが、耐震性は劣ります。また湿気がこもりやすいためシロアリ対策も必要です。

4.独立基礎(どくりつきそ)

直接基礎の一種。主要な柱の下だけに基礎を造る工法で、接地面が小さいため地盤の強度が高い土地で採用されます。コストが安く抑えられるため、マンションなど大規模な建築物で採用されることが多い基礎です。

基礎工事の工程・流れ

基礎工事の種類について分かったところで、次は工程と一連の流れについてご紹介します。
基礎工事は主に8つの工程に分けられています。

1.地盤調査

まず地盤について調査します。建物を建てる前に、その地盤がどれくらいの重みに耐えられるのか、どの程度沈下に耐えられる力を持っているのかを調べます。
地盤調査にかかる時間は半日~数日程度、費用は調査方法によって異なりますが、一番安価なスウェーデン式サウンディング試験で数万円程度~となっています。

2.地縄張り(じなわばり)・遣り方(やりかた)

地縄張りとは、地面の上に縄(ビニール紐)を張って建物のおおよその位置を示す作業のこと。地縄張りをすることで境界までの距離を目で確認することができます。
地縄張りが済んだら次は遣り方です。地縄張りよりも50cm~1mほど外側に杭を打ち、基礎の高さなど図面の情報をもとに仮設物を造ります。遣り方は建物の正確な位置を決めるための重要な作業となります。

3.掘削(くっさく)工事

パワーショベルなどを使って地面を掘り起こす作業のことで「根切り」とも呼ばれます。
基礎工事の種類のよって掘り起こす範囲が変わります。

4. 砕石(さいせき)を敷く

掘削したあとに砕石(細かくくだかれた石)を敷き詰め、ランマーで地盤を固めます。この作業は建物の重みで地盤沈下が起こるのを防ぐ役割があります。

5.捨てコンを流す

地盤を固めたら湿気を防ぐ防湿シートを敷き、基礎の外周部分にコンクリートを5cmほど流し込みます。
このコンクリートは職人が作業しやすいように印をつけるために流すもので、建物の強度には直接関係しないことから「捨てコンクリート」と呼ばれています。

6.配筋

鉄筋コンクリートで基礎を造るために、格子状の鉄筋を組み立てます。これが配筋です。
配筋は基礎の強度や寿命などにも関わるため、建築基準法で細かくルールが決められています。

配筋

7.型枠を組んでコンクリートを流し込む

設計図に沿って型枠を組み立てます。そしてアンカーボルトという部材を設置し、基礎と建物の構造材をつなぎます。
型枠の中にコンクリートを流し込み、固めます。

8.型枠を外して仕上げる

コンクリートが乾くまで3~5日間養生し、乾いたら型枠を外します。
コンクリートに初期不良がないか、ひび割れや仕上がりに不備がないかを確認し、これで基礎工事が完成です。

まとめ

基礎工事の種類や工程について解説しました。基礎工事は建物を建てる上で非常に重要な部分ですので、正しい施工が行われているかどうかを知る上でも知識を持っておくと安心です。
基礎工事の一つ一つの工程がどんな役割を持っているか、確認しておきましょう。

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記事の監修・執筆者

  • 株式会社ライフワン 古川原

    保有資格:
    2級建築士
    第2種電気工事士
    一般建築物石綿含有建材調査者
    石綿作業主任者

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