空間デザインの店舗設計における考え方やポイント、見落としやすい注意点

「デザイン」は様々な分野に分かれています。主だったものだとグラフィックデザイン、インダストリアルデザイン（工業デザイン）、ファッションデザイン、などがあります。出版物（新聞、書籍、雑誌など）のデザインを行うエディトリアルデザインや、公共の場（広場や公園、川原など）のデザインを行うランドスケープデザインなどなど、非常に多くのジャンルの「デザイン」が存在します。

では店舗の開業やお店の設計や内装工事で関わってくるのは何かというと、空間デザインということになるでしょう。
実際にお客様が足を運んでお店という場を体験することを踏まえると、空間デザインがもっとも重要だといえます。空間デザインはビジュアルデザインやインテリアデザインなども内包した総合的なデザインである、という見方もできますね。
なお、空間デザインは実際には内装だけでなく外観や屋外部分（テラス席やお庭など）に対しても使う言葉ですが、こちらの記事では内装デザインに絞って解説していきます。

店舗の空間デザインに大切なこと

店舗内装を作り上げる空間デザインでもっとも大切なことは、お店のコンセプトです。
Who（誰に）→ターゲットは誰？
Why（なぜ）→来店動機は何？
When（いつ）→時間帯はいつ？
Where（どこで）→出店エリアはどこ？
What（何を）→提供するものは？
How（どうやって）→提供方法は？
という5w1h法にのっとって考えると、コンセプトを立てることに慣れていない方でも進めやすいと思います。ぜひ試してみてください。

なお、5w1h法については、こちらのコラムにもまとめています。カフェの内装についての記事ですが、カフェ以外にも共通する考え方ですので、ぜひご一読いただければと思います。
おしゃれなカフェを作るコツ！内装デザインの決め方・ポイント

なぜコンセプトが空間デザインにおいて重要なのか

お店づくりは判断の連続。コンセプトは何かを決定する時の判断基準になるため、とても大切です。
お店を作り上げることはまさに夢や理想の体現ですが、ゼロから完成に至るまで膨大な決定をし続けることでもあります。そして、空間デザインは言わば「お店まるごと」のデザインになり、デザイナーや工事担当など多くの人が関わるため、コンセプトがしっかり決まっていないと完成形がブレやすくなってしまいます。

また、店舗デザインは大きなお金が動くことでもありますから、明確なコンセプト＝判断基準を持つことで的確かつ失敗のない投資ができます。自店舗の武器を明確化することだとも言い換えられますので、他店舗との差別化という観点からもコンセプト立ては重要ですね。

お店の空間デザインで見落としやすいこと

デザインという名前なので見落としやすいのですが、店舗スタッフが動きやすい導線設計やエリア（客席、バックヤード）のゾーニング・動線設計も空間デザインのうちに入ります。

お客様は他のお客様ではなくスタッフに注目することが多いですよね。そのため、スタッフの動きが見えにくい、見えすぎる、そもそもの動線が不自然といった設計になってしまっていると、店内滞在時の居心地の良さに影響します。
ゾーニングや動線設計は、店舗開業後に変更することは難しいものです。客席だけでなく、常に店内全体を俯瞰しながら内装、そして空間デザインを考えていきましょう。

店舗の空間デザインはどこに依頼すればいいか

店舗の空間デザインは何という種類の企業に依頼をするのが良いかというと、基本的には建築設計会社やデザイン事務所がメインになってきます。設計事務所などから独立し、フリーランスで空間デザインやインテリアデザインを請け負っているデザイナーの方もいますね。
店舗デザインを手がけているといっても会社によって得意な分野は異なるので、開業する店舗と同じジャンルの実績を持っているかをチェックすると会社選びはスムーズに進むでしょう。

ただし、実績すべてが公開されているとは限りません。もし公開されている実績に同業種店舗がなかったとしても、設計事例やデザイン実績に好みのテイストが多いなら問い合わせてみることをおすすめします。この会社は気になる、ピンと来た、という直感も大切です。

まとめ

店舗開業における空間デザインは、お客様の快適さ、くつろぎなどに大きく関わり、再来店したいと思っていただけるかどうかを左右する重要な工程です。そのためにははっきりとしたコンセプトと、全体を見渡しながら進めていく冷静さが必要。今回の記事でまとめたポイントや注意点が、リピートしたくなる魅力的な内装づくりの一助になれば幸いです。