建築資材はなぜ高騰?ウッドショック、円安、ウクライナ情勢など理由を解説

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記事の監修・執筆者:古川原

なぜ建築資材が高騰しているのか、またいつまで続くのか、理由と予測について解説します。

近年、建築業界では建築資材の高騰が大きな問題となっています。2023年3月の建築資材物価指数は139.1で、前年同月と比べて約10%上昇しました。(出典:一般財団法人建築物価調査会「建設資材物価指数(2011年基準)」
建築資材の価格が高騰すると店舗デザイン費用も上がってしまうため見過ごせません。なぜ建築資材が高騰しているのか、またいつまで続くのか、理由と予測について解説します。

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建築資材が高騰している理由

建築資材高騰の理由は主に次の5つが挙げられます。

1.ウッドショック

ウッドショック

ウッドショックとは建築用木材の供給が追い付かず、木材価格が高騰している状態を指す言葉です。
アメリカで大規模な住宅ローンの低金利政策が取られたことにより、新築住宅の需要が増加。さらにヨーロッパ・中国での景気回復に伴う木材の需要拡大や、コロナ禍における輸出規制など様々な要因が重なり、日本へ輸出する木材の提供が減って輸入木材の価格が急騰しました。
下のグラフは製材(角材や板材に加工された木材)の輸入物価指数を表したもの。ピークアウトした感はあるものの、依然として高い水準が続いていることが分かります。

輸入物価指数
出典:経済産業省ウェブサイト

日本の木材自給率は41.1%(出典:林野庁「令和3年木材需給表」)と増加傾向にありますが、国内林業の担い手不足や、輸入材の方が硬くて住宅建材に適しているなどの理由により、まだまだ輸入木材に頼っているのが現状です。

2.アイアンショック

木材同様、価格が高騰しているのが鉄です。
日本は鉄の原料となる鉄鉱石を100%海外からの輸入に頼っています。新型コロナウイルス感染症拡大により鋼材の需要は世界的に大きく減少しましたが、いち早くコロナを収束させた中国で経済活動が再開されたことをきっかけに鋼材や鉄鉱石の需要が拡大。2021年から2022年にかけて、建築に使われる鉄筋・鉄骨などの鋼材の価格が急激に上昇しました。これをアイアンショックと呼びます。
鋼材の供給不足はオフィスビルや商業施設などの建設に大きな影響をもたらします。

3.円安

ウッドショックやアイアンショックにさらなる追い打ちをかけているのが円安です。
2019年の円相場が1ドル=110円程度だったのに対し、2022年は一時的に150円台まで円安が進行しました。円の価値が下がればそれだけ仕入れ価格が上がってしまうため、建築資材高騰につながってしまいます。

4.ロシアによるウクライナ軍事侵攻

ロシアへの経済制裁により、ロシアから一部木材を輸入できなくなったことも大きな要因です。2022年4月より、ロシアからのチップ、丸太、単板の輸入が禁止されています。特に単板は輸入量の80%以上をロシアが占めており、建築資材高騰に拍車をかけています。

5.コンテナ不足

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で世界的にリモートワークやステイホームが広がり、物流の動きが活発化したことなどが原因でコンテナ不足に陥りました。コンテナが不足すると物流費が上がり、建築資材の高騰にも影響を与えています。

コンテナ不足

建築資材高騰はいつまで続く?

このように建築資材の高騰には日本だけでなく、世界各国の様々な要因が複雑に絡み合っています。たとえロシアによるウクライナ侵攻や新型コロナウイルス感染症拡大が収まったとしても、すぐに市場価格に反映されることは難しいと言えます。
今後もしばらくは建築資材の高騰が続くと見ておく方がよいでしょう。

まとめ

建築資材高騰の理由と、今後の見通しについて解説しました。
まだしばらくは建築資材の高騰が続くことが予想されるため、店舗デザインのコストを抑える工夫が必要です。
店舗デザインの費用を安く抑えるためには、ある程度設備が残っている居抜き物件を活用したり、助成金や補助金を活用したりする方法などがあります。
建築資材の高騰で概算見積書よりも金額が上がってしまうことも想定し、予め余裕を持った予算組みをすることをおすすめします。

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記事の監修・執筆者

  • 株式会社ライフワン 古川原

    保有資格:
    2級建築士
    第2種電気工事士
    一般建築物石綿含有建材調査者
    石綿作業主任者

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