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執筆者:古川原

エステサロンの開業や改装を計画する中で、「照明」は見落とされがちですが、実はお客様の印象や満足度を大きく左右する重要な要素です。
施術のしやすさはもちろん、落ち着いた雰囲気づくりや高級感の演出にも深く関わってきます。
この記事では、エステサロンに適した照明の種類や色温度の選び方、内装工事との関係性、そして実際にサロンの印象を高めるための照明演出のコツまで、わかりやすく解説します。
これから開業を考えている方も、既存店舗の照明を見直したい方も、照明計画の参考にぜひご覧ください。
なぜ照明がエステサロンの印象を決めるのか?
照明は、エステサロンにおいて「空間の第一印象」を決定づける要素のひとつです。
お客様が初めて扉を開けた瞬間に感じる雰囲気や居心地の良さは、インテリアだけでなく光の質や配置にも強く影響されます。
とくにエステサロンは、「非日常」や「癒し」を提供する空間であるため、照明がもたらす心理的な効果は非常に大きくなります。
光が柔らかければリラックスを促し、逆に明るすぎたり寒色系の照明を多用すると、無機質で落ち着かない印象を与えてしまうこともあります。
たとえば、施術ベッドのある個室では、天井からの直接的な光ではなく、壁面に反射させた間接照明を使うことで、やさしく包み込むような空間演出が可能になります。
また、受付やカウンセリングスペースでは、安心感や信頼感を与える適度な明るさと顔映りの良さが求められます。
照明はインテリアや設備の「後回し」にされがちですが、むしろ内装計画と一体で考えるべき項目です。
照明の質や配置が空間の印象にどれほど影響を与えるかを理解した上で、計画的に照明を選び、配置することが、成功するサロンづくりの第一歩といえるでしょう。
エステサロンに適した照明の種類と選び方
エステサロンの空間は、「リラックスできる雰囲気」と「施術のしやすさ」の両方を兼ね備える必要があります。
その実現に欠かせないのが、「適切な照明の選定と配置」です。この章では、エステサロンにふさわしい照明の色・種類・設置場所ごとのポイントを具体的に解説します。
色温度(光の色)の基本:電球色・昼白色・白色の違い
照明選びにおいて重要なのが「色温度」です。
これは光の色味を数値で表したもので、色温度によって空間の印象が大きく変わります。
| 色温度 | 光の色味 | 特徴・適したエリア |
|---|---|---|
| 電球色(2700K~3000K) | 暖かみのあるオレンジ系 | リラックス空間、施術室、待合室に最適 |
| 昼白色(4000K~5000K) | 自然光に近い中間色 | 受付・カウンセリングスペースにおすすめ |
| 昼光色(6000K以上) | 青白くシャープな光 | エステサロンでは使用を避けるのが無難 |
基本的にはお客様の肌がきれいに見える「電球色」が良いでしょう。
メイク直しスペースや洗面所には、自然光に近い色でメイクがしやすい「昼白色」がおすすめ。 逆に青白い昼光色は、冷たい印象になるため、エステサロンでは避けるのが一般的です。
照明の種類と使い方
エステサロンでよく使われる照明器具は、以下のようなものがあります。
- ダウンライト(天井埋め込み型)
→ スッキリした見た目で人気です。施術室では直接顔に当たらない位置に配置しましょう。 - 間接照明(壁・天井を照らす)
→ リラクゼーション効果も高く、柔らかな光で落ち着いた雰囲気を演出します。 - ペンダントライト(吊り下げ型)
→ カウンセリングルームや受付など、ポイントで使うとおしゃれで印象的です。 - スタンドライト・フロアライト
→ レイアウト変更がしやすく、デザイン性の高い空間に仕上がります。 - LEDテープライト
→ 棚下や鏡まわりの装飾におすすめ。空間に立体感や高級感をプラスできます。
場所ごとの照明選びのコツ
- 施術室
強い影やまぶしさは避け、間接照明を中心とした、柔らかく均一な光が理想です。 - 待合室
温かみのある照明で安心感を与えましょう。照度はやや落としてリラックスできる空間に。 - 受付・カウンセリングスペース
適度な明るさと清潔感が大切です。昼白色で顔色がよく見えるようにしましょう。 - 洗面・メイク直しスペース
顔の左右から照らす照明配置にすると、自然な仕上がりになります。
照明は空間全体のデザインやお客様の体験に密接に関わっています。
照明計画をおろそかにすると、せっかくの内装や施術の質が伝わりづらくなってしまいます。
場所ごとの役割を理解し、サロンのコンセプトに合った照明を選ぶことで、来店から施術までの「心地よい流れ」を演出できるようになります。
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お客様の満足度を上げる照明演出の工夫
エステサロンに来店するお客様が求めているのは、単なる施術だけではありません。
日常を忘れてリラックスできる非日常空間こそが、サロン選びの決め手になることも多く、その空間演出において照明は重要な役割を果たします。
ここでは、リピーターの獲得にもつながる照明の演出術と、照明が持つ心理的な効果について解説します。
心地よさと高級感を生む「明るさのグラデーション」
照明で空間に「メリハリ」をつけると、お客様の居心地の良さは格段に向上します。
たとえば、受付やカウンセリングスペースはやや明るめにし、施術室は間接照明などで光を落とすことで、移動の中で気持ちが徐々に切り替わる演出が可能です。
このように、エリアごとの照度の差を意識的に作ることで、お客様は自然とリラックスモードに入ることができます。
照明で「流れ」をデザインすることが、空間体験の質を高めるコツです。
香り・音・照明で「五感」を満たす
照明だけでなく、アロマの香りやBGM(音楽)と組み合わせることで、サロン全体が五感に訴える空間になります。
照明には、以下のような心理的効果が期待できます。
| 照明の状態 | 心理的な影響 |
|---|---|
| 柔らかく温かみのある照明(電球色) | 安心感・癒し・落ち着き |
| 均一に広がる間接照明 | 緊張の緩和・心の開放感 |
| 明るすぎる白色照明 | 不安感・冷たさを感じさせやすい |
たとえば、照明をほんのり暗めに調整するだけで、香りや音楽がより深く感じられるようになります。
こうした相乗効果を意識した空間設計が、満足度を大きく引き上げるのです。
撮影映えも重視するなら「顔映り」もポイントに
近年では、お客様が施術後にサロン内で写真を撮ったり、SNSに投稿することも増えてきました。
そんな時に大切なのが、「顔映りの良さ」です。
自然光に近い昼白色や、柔らかく肌を照らす電球色を左右から当てる照明配置は、写真映えにも直結します。
お客様が「また来たい」と思える体験を提供するためにも、照明の角度・高さ・色合いには細かな配慮が必要です。
照明の演出がリピート率を変える
お客様は、言葉にはできなくても、照明から安心感・清潔感・信頼感を受け取っています。
たとえ施術の内容がよくても、照明がまぶしすぎたり、空間が冷たい印象だったりすると、「なんとなく落ち着かなかった」「他のサロンにしようかな」という心理につながってしまう可能性があります。
逆に言えば、照明演出にこだわることで、他のサロンと差別化ができるのです。
ちょっとした工夫が「ここ、なんか好きかも」と思わせる要因となり、リピーター獲得や口コミ効果にもつながります。
内装工事と照明計画はセットで考える
エステサロンの居心地や印象は、「内装デザイン」と「照明設計」のバランスによって大きく左右されます。
特に近年では、SNS映えする写真や、店舗のブランディングを意識した空間づくりが求められるようになってきており、照明が果たす役割はますます重要になっています。
それにもかかわらず、照明の設計が後回しにされてしまうケースが多く、内装工事後に「やっぱりこうしておけばよかった…」という後悔につながることも少なくありません。
失敗したくない方のために「なぜ内装と照明は一体で考えるべきなのか」「どのタイミングで何を決めればよいのか」を改めて詳しく解説していきます。
1. 天井・壁の構造が照明の選択に影響する
照明器具には、天井埋め込み型のダウンライトや間接照明、壁面を照らすブラケットなどさまざまなタイプがあります。
これらの器具を設置するためには、天井裏や壁内部に配線スペースが必要であり、あらかじめ内装工事の設計段階で決めておかないと対応が難しくなります。
例えば、「天井に間接照明を入れたい」と後から思っても、天井の構造が対応していなければ、追加工事や妥協案で対応せざるを得なくなります。
2. 照明による素材の見え方も考慮する
内装の素材(床、壁、天井、家具など)は、照明の色温度や明るさ、光の当たり方によって印象が大きく変わります。
たとえば、マットな質感の壁紙は、柔らかい間接照明と相性が良い一方で、強い白色光を当てると表面の質感が失われてしまうことも。
また、金属やガラス素材は照明が映り込みやすいため、設置角度によってまぶしく感じてしまう場合もあります。
素材と照明はセットで選定・配置することで、意図した空間演出が実現できます。
3. 内装業者と照明設計者が連携できる体制がベスト
照明計画を電気工事会社や照明メーカー任せにしてしまうと、内装との統一感が失われる可能性があります。
逆に、内装デザインと照明がきちんと連動していれば、照度のバランスや素材の美しさ、動線の快適さまでトータルで調整することができます。
そのため、初期段階で内装業者と照明設計(または電気工事)を一体で相談できる環境を整えることが重要です。
4. 電気配線やスイッチ計画も含めて早めに決定を
照明の数や位置だけでなく、スイッチの位置・ゾーニング・調光機能の有無も内装工事に直結する要素です。
特に、リラクゼーション重視のエステでは、施術中に強すぎる照明が入ってしまわないよう、段階的な明るさ調整やスイッチ分けが必要です。
これも後から変更しようとすると、壁を開けて配線し直すといった大掛かりな工事になるため、内装工事の前段階で確定しておくべきポイントです。
まとめ
エステサロンの照明は、単なる「明るさ」だけでなく、空間全体の印象やお客様の満足度、スタッフの働きやすさに大きく影響する重要な要素です。
おしゃれな雰囲気づくりから施術のしやすさまで、細かな配慮が求められるからこそ、照明計画は内装設計の段階から一緒に考えることが理想的です。
とはいえ、照明の種類や配置をゼロから自分で考えるのは現実的ではありません。
そんなときこそ、店舗設計・施工を専門とする会社の知見が力になります。
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記事の監修・執筆者
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株式会社ライフワン 古川原
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- 所有資格
- ・2級建築士
- ・第2種電気工事士
- ・石綿作業主任者
- ・一般建築物石綿含有建材調査者
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店舗設計施工.com運営担当の古川原です。施主様、店舗デザイン・内装工事会社様にも満足いただけるよう皆様をサポートさせていただきます。
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