店舗デザインに必須の設計図、その見方や役割を解説

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記事の監修・執筆者:古川原

店舗デザインに必須の設計図、その見方や役割を解説

店舗開業にあたり、お店を作るとなると設計図面が必須になります。
ですが、図面に触れたことがない方は書いてある内容が分からなかったり、お家を建てた経験がある方でも店舗となると見方に不安があるものです。今回はこの設計図面についてまとめていきます。

実際にお店を形にしていくための指針となるものなので実際はなかなか複雑なところもありますし、建築設計事務所や工務店とのやり取りでは細かな用語も数多く出てくると思います。
こちらの記事では設計図面のアウトラインを理解していただけるよう解説していきたいと思っていますので、特に初めて店舗を開業するという方に読んでいただければ幸いです。

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1.設計図面とは

設計図面は、建物の様子を説明したものです。図面とつくので真上から見た間取り図の中に細かい数値がたくさん書かれているものを想像する方もいるかもしれませんが、実はそれは平面図や施工図と呼ばれるもの。設計図面というと、次のような種類の図面を総合した呼び方になります。

設計図面の種類

設計図面は大きく分けて「基本設計図」「実施設計図」「施工図」の3つ。さらにそれぞれが細かく分かれるので詳しくは後ほど書きますが、先にこの大きな3区分をご説明します。

設計図面の区分イメージ

基本設計図は間取りなどを図面化したもの。発注者への説明が主な用途です。専門知識がなくても、比較的デザインをイメージしやすい図面といえます。
実施設計図は、基本設計図をより詳細にしたもの。設備図などが付加されており、工事発注や建築確認申請で必要になります。
施工図は、実施設計図にもとづき、工事のためだけに作る詳細な図面。工事中も必要に応じ作図され、専門の工事業者や職人への指示元になります。

店舗づくりが進むにつれて図面がどんどん詳しくなっていく流れが、なんとなくイメージできますね。頭の中にあるデザインイメージを多くの関係者に共有し、店舗という形あるものを作り上げる工程が見えてくると思います。

さて、基本設計図は比較的分かりやすいのですが、実施設計図は「意匠設計」「構造設計」「設備設計」の3種類に分かれ、さらにそこから細分化します。施工図は中区分的なものはありませんが、必要な工事の分だけ図面も必要になります。
ではここで、細かく分かれる実施設計図と施工図の区分をざっとご説明しましょう。

2.実施設計図の種類

実施設計図のうち、意匠図に入るもの

意匠(いしょう)とはデザイン、見た目関連を指す言葉です。意匠設計図とはどんな見た目になるかを主に扱う、と解釈すると分かりやすいでしょう。

設計図面の区分イメージ 意匠図

平面図(へいめんず)…建物内を真上から見た図面で、間取りや建具の種類・位置、開口部などの位置や種類を示すものです。2階、3階がある場合は各階ごとに作成します。

平面詳細図(へいめんしょうさいず)…平面図と似ていますが、より詳細な図。壁芯やカウンター、開口部などの寸法や壁の厚み、フローリングの方向などを記載します。

断面図(だんめんず)…こちらは建物内を横から見た図面です。天井高や基礎の深さ、GL(地盤面の高さ)、FL(床面の高さ)などを記載します。

矩計図(かなばかりず/くけいず)…断面図と同じく、建物内を横から見た図面。ただし断面図よりも詳細で、基礎、床、梁、壁などの種類や厚み、仕様を示します。

天井伏図(てんじょうふせず)…天井を見上げたときのデザインや照明位置、寸法などを示す図です。天伏図(てんぶせず)とも。

立面図(りつめんず)…建物の外観を示すのが立面図。屋根や外壁、開口部の位置や形を記載します。

展開図(てんかいず)…各部屋の内部を、室内中心から四方を見た図面。部屋の形や寸法などを記載します。立面図が外から見た壁、展開図が室内から見た壁というイメージです。

配置図(はいちず)…敷地と建物の位置関係を示す図面です。道路境界やフェンス、敷地内の高低差などを記載します。

実施設計図のうち、構造図に入るもの

設計図面の区分イメージ 構造図

床梁伏図(ゆかはりふせず)…柱や壁、梁などの様子を示します。床下にあり見えない梁なども破線で記載します。梁伏図(はりふせず)、伏図(ふせず)とも。

軸組図(じくぐみず)…土台や柱、梁などの構造体を横から見るとどうなるかを示す図面です。柱芯から柱芯までの距離や各階の床から天井までの高さなどを記載します。

実施設計図のうち、設備図に入るもの

設計図面の区分イメージ 設備図

電気設備図(でんきせつびず)…配線図というと分かりやすいかもしれません。平面図上に、分電盤から各部屋への配線経路やコンセント位置などを示したものです。

空調換気設備図(くうちょうかんきせつびず)…その名のとおり、エアコン(室内機・室外機)や換気扇についての図面です。各空調設備の位置だけでなく、配管や換気能力も記載します。

給排水衛生設備図(きゅうはいすいえいせいせつびず)…上水道などの配管経路や材質、蛇口位置などを示す図面。排水トラップ位置や、衛生設備ではトイレの位置なども記載します。

3.施工図の種類

設計図面の区分イメージ 施工図

平面詳細図(へいめんしょうさいず)…意匠図の平面図を拡大して作図する図面で、内装の仕上げに大きく関わります。フローリングの方向や建具寸法、壁の厚みなどを詳細に記載します。

躯体図(くたいず)…柱や梁、天井、屋根、階段などの、建物の骨組みに関する図面。コンクリートの断面寸法や打設位置、通り芯、壁芯などが記載されます。

総合図(そうごうず)…実施設計図の設備図と、平面詳細図から情報を抽出した図面。建築情報と設備情報が入るので、総合図と呼ばれます。

打ち合わせイメージ

図面というだけあり専門ごとに分かれていて、正確さが要求されることが分かりますね。
今回挙げたものはあくまで例で、実際の現場に合わせて図面の種類は変わってきますし、建築設計会社によっても細かいところは色々違うはずです。これはどういう意味だろうか?何に使われるのだろうか?と疑問に思うことがあったら、都度確認しながら進めていくようにしましょう。

4.設計図面に関する注意点

設計図面は建物を立てる指針であり、施主様のイメージを実現するために必須のものです。ただ、どんなサイズにしたい、何をどこに配置したいといった希望を書き起こすだけのものではないことは意識しておかなければいけません。
建築物、特に一般住宅ではなく店舗の場合は、法規的な面からも注意事項が多々あります。建築基準法、消防法、都市条例、食品を扱うなら食品衛生法など、守らなければならないルールに沿って図面を作成していく必要があります。すべて好きにできるわけではなく、法律を守りつつ希望を叶えていくということですね。

他に主な注意点というと、建築確認申請があります。建築基準法で定められているもので、管轄の行政への届け出となります。新築の時だけではなく、増築や改装・リフォーム(内装工事だけでも対象です)でも内容により必要なので注意しましょう。
建築確認申請が不要な場合もありますが、建築基準法をはじめとした法令等の基準はクリアしておく必要があります。

まとめ

店舗内装イメージ

店舗開業に必須の設計図面についてまとめました。かなり駆け足になったとは思いますが、大枠のイメージは掴んでいただけたのではないでしょうか。
アウトラインだけでも理解しておくと、○○図面という言葉が出てきたら全体の工程でいうとどのあたりにいるか、といった見当がつくようになります。そうすれば初めて店舗開業するという方も、工事に対する不安感がやわらぐのではないかと思います。今回の記事で、そのお手伝いができていればとても嬉しいです。

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記事の監修・執筆者

  • 株式会社ライフワン 古川原

    保有資格:
    2級建築士
    第2種電気工事士
    一般建築物石綿含有建材調査者
    石綿作業主任者

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