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記事の監修・執筆者:古川原

「〇月オープンの予定だったのに設備が届かない」「見積もりを取ったときより内装工事費が上がっている」――こうしたケースが、飲食店や小売店などの店舗開業の現場で増えています。
背景にあるのが、中東情勢の緊迫化によるナフサの供給不足です。ナフサが不足すると内装資材や設備機器の価格上昇・納期遅延につながり、店舗開業にも大きな影響を与えます。
本記事では、ナフサショックが店舗開業や改装工事に与える影響と、予定通りに店舗をオープンするためにオーナーが押さえておきたい対策について解説します。
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ナフサショックが店舗開業に与える影響
ナフサショックとは、中東情勢の緊迫化にともない、石油化学製品の最重要な基礎原料である「ナフサ(粗製ガソリン)」の供給不安と価格高騰が起き、国内のあらゆる産業に深刻な打撃を与えている現象のことです。
ナフサはプラスチックや合成ゴム、塗料などの原料(エチレン・プロピレンなど)を製造するために欠かせない存在ですが、日本はその約6割を輸入に依存しており、大半を中東諸国から調達しています。
店舗の開業や改装では、内装材や設備機器、包装資材などにナフサ由来の製品が幅広く使用されています。そのため、ナフサ価格の高騰や供給不足が発生すると、店舗開業にもさまざまな影響が及びます。
主な影響として挙げられるのは、次の3つです。
- 資材・設備の価格高騰による開業資金の増加
- 資材不足による工期の遅延
- 開業延期に伴う家賃や人件費などの先行発生
これらの影響により、当初予定していた予算やスケジュールの見直しを迫られるケースも少なくありません。
1. 開業準備費用が想定以上に膨らむ可能性がある
内装工事で使用される断熱材や仕上げ材の多くには、ナフサを原料とするプラスチック(樹脂)や化学繊維が使われています。原材料価格の上昇を受けてメーカー各社が相次いで価格改定を実施しており、当初取得した見積もりよりも内装工事費が高くなるケースも少なくありません。
また、店舗設備や厨房機器にも樹脂製の部品が多く使用されているため、設備費の上昇にもつながっています。
さらに、テイクアウト容器やラップなどの消耗品にもナフサ由来の原料が使われており、仕入れコストの増加は避けられません。
このように、内装工事費や設備費、消耗品代が幅広く値上がりすることで、開業資金として準備していた予算を超えてしまう可能性があります。
ナフサショックの影響を受ける可能性のある製品・資材
| 分類 | 主な製品・資材 |
|---|---|
| 天井・壁・床材 | ビニールクロス、化粧シート、クッションフロア、フロアタイル、長尺シート |
| 塗装・仕上げ材 | 塗料、シンナー、コーティング材 |
| 接着剤・副資材 | クロス糊、ボンド、シーリング材、養生テープ |
| 配管材 | 塩ビ管、樹脂製継手 |
| 断熱材 | ウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム |
| 店舗用設備 | トイレ・洗面台・給湯器、アクリル看板、樹脂製サイン、椅子・ソファ(合皮・ウレタン材)、パーテーション |
| 厨房設備 | シンク、食洗機、製氷機、冷蔵庫 |
| 空調・換気設備 | エアコン、換気扇、ダクト部材 |
| 容器・包装・消耗品 | プラスチック容器、カップ、蓋、プラ製カトラリー、レジ袋、ゴミ袋、ラップ、梱包材、手袋、スポンジ、洗剤容器 |
2. オープン予定日に間に合わなくなる
ナフサショックは、「お金を払ってもモノが予定通りに届かない」という供給制限(受注制限・出荷停止)にもつながっています。たとえば「水回りの配管に使う塩ビ管が届かない」「断熱材が一部足りない」といった事態が起きると、その後のボード貼りやクロス貼りといった内装工程がすべてストップしてしまいます。
設備機器に関しても、樹脂パーツの調達難による納期遅延や一時受注停止が発生しています。これにより、内装がほぼ仕上がっているのに「設備待ち」のまま引き渡しが数ヶ月単位で遅れる現場も出始めています。
3. 家賃や人件費だけが先に発生する
ナフサショックにより工事が長引くと、オープン予定日になっても店舗が開業できない事態に陥ります。つまり「売上はないのに家賃だけ発生する」状態になります。
例えば月額30万円のテナントを契約している場合、工事が2ヶ月延びるだけで60万円の家賃が発生します。
さらにスタッフ採用や求人広告を進めていた場合、その費用も無駄になる可能性があります。

店舗開業や改装を検討中のオーナーが注意すべき5つのポイント
ナフサショックの現在、店舗の開業やリニューアル(改装)を計画しているオーナーにとって、以前の常識のまま進めることは非常に大きなリスクを伴います。
結論から言うと、現在の店舗開業では「予算に余裕を持つ」「納期優先で設備を選ぶ」「工期に余裕を持つ」の3点が特に重要です。以下で具体的な対策を解説します。
1. 見積書の有効期限とスライド条項を確認する
これまで見積書の有効期限は「1ヶ月〜3ヶ月」が一般的でしたが、現在は資材価格の変動が激しいため、「1週間〜10日間」あるいは「都度見直し」とする内装業者が増えています。
契約から着工までに期間が空く場合、資材の再高騰によって「契約時の金額では工事できない」と追加請求(スライド条項の適用)を求められるケースがありますので、契約前に「この金額でどこまで確定なのか」「追加費用が発生する条件は何か」を明確にし、予算に15〜20%程度の予備費(バッファ)を組み込んで資金調達を行うことが重要です。
2. 設備・仕上げ材はデザインより納期を優先
現在、トイレや給湯器、換気設備、厨房機器など、飲食店の営業に欠かせない設備の一部で納期遅延や受注制限が発生しています。
「厨房機器はこのメーカーで統一したい」「デザイン性の高い床材や壁材を使いたい」など内装にこだわりすぎると、その一部材が届かないだけでオープンが数ヶ月遅れる可能性があります。
特に飲食店の場合、厨房設備や換気設備が揃わなければ保健所の検査を受けられず、営業許可の取得にも影響します。
デザイン性だけを優先するのではなく、設計・施工業者に「現在調達しやすい代替品はあるか」「納期が確定している設備はどれか」を確認し、流通が安定している設備や建材を前提に計画を進めることが重要です。
3. スケジュールは最低でも2ヶ月のバッファを持つ
内装工事がほぼ終わっているのに「トイレだけが届かない」「配管用の塩ビ管が足りなくて水回りが完成しない」という理由で、引き渡しがストップする現場が多発しています。
「◯月◯日オープン予定」と期日を固めて、家賃の発生やスタッフの採用、広告宣伝を進めてしまうと、工期が延びた瞬間に「売上ゼロなのに家賃と人件費だけが垂れ流し」という致命的な打撃を受けます。
物件のフリーレント(家賃無料期間)交渉を長めに行うか、オープン日は工事が完全に完了して引き渡されてから「逆算して告知する」など、柔軟に対応できるスケジュールを組むことが重要です。
4. 石油由来の資材を避けた「代替仕様」を検討する
ナフサショックの影響をまともに受けているのは、クロス(壁紙)、塩ビ床材、樹脂系断熱材、ウレタン塗装などです。
壁・天井はビニールクロスを避け、塗装仕上げや自然素材(漆喰、珪藻土、木質系)の採用を検討するとよいでしょう。床はクッションフロアやフロアタイル(塩ビ製)ではなく、モルタル仕上げや無垢フローリングなど、石油依存度の低い素材をデザインに取り入れるのも良い案です。
これらの代替え案は、ナフサショックの価格高騰を回避しつつ、お店の「こだわりや質感」をアピールするポジティブな空間作りに繋げることも可能です。
5. 法規制に関わる設備を優先的に手配する
店舗の業態によっては、特定の設備が「法律や条例のクリア」に直結します。
たとえば、換気設備(ダクトやファン)や厨房のグリスフィルター、あるいは喫煙室を設置する場合の隔離用パーテーションや換気扇などは、ナフサ由来のパーツや半導体・モーターを使用しているため、調達難に陥りやすい傾向があります。
保健所や消防、各自治体の受動喫煙防止条例など、「店舗運営の許可に関わる重要設備」に関しては、物件契約と同時に最優先で在庫の確認と発注をかけるよう、内装業者と密に連携しておきましょう。ここが遅れると営業許可自体が下りず、オープンが不可能な状態に陥ります。
ナフサショックによる資材高騰・工期遅延はいつまで続く?
日本でナフサショックが表面化したのは2026年3月中旬から4月にかけて。4月には、建築資材や住宅設備の大手メーカーが相次いで新規受注や納期回答を停止するなど大きな混乱が起こりました。
5月以降はリフォームや内装の原価が跳ね上がり、現在は、2~4割増しの新価格を受け入れざるを得ない状況へと移行しつつあります。
中東情勢や為替動向によっては、ナフサの価格上昇や供給不安が長期化する可能性があります。また、円安傾向も続いていることから、今後さらに関連資材や設備の価格が値上がりする可能性も考えられます。
資材価格は一度上昇すると元の水準に戻りにくい傾向があり、今後も動向を注視する必要があります。
まとめ:今、店舗づくりを成功させるために
現在の店舗開業・リニューアルは、「スピード感」と「代替案の事前準備」が成否を分けると言えます。ナフサショックの影響は日々変化しており、資材の確保や価格交渉に時間を取られているうちに、状況がさらに悪化してしまうリスクもあります。
また、このナフサショックは、これまでの店舗づくりの前提をも大きく変えつつあります。かつてのように「これまでの馴染みの業者に頼めば安心」という固定的な取引関係は、資材不足や価格高騰の前では維持することが難しくなっています。信頼していた馴染みの業者であっても「モノが入らない」「工期が読めない」という事態に直面しているのが現状です。
そのため現在は、施主・施工会社の双方が、この流動的なリスクに柔軟に対応できる「新しいパートナー」を探しています。まさに今が、これまでの取引先を見直し、最適なパートナーに出会うための絶好のタイミングだと言えます。
このような状況で重要となるのが、価格の安さだけでじっくり比較するのではなく、「今、このリスクに対応できる施工会社」をスピーディーに見つけることです。そこで、この変化を追い風に変えるために強くおすすめしたいのが、弊社の店舗デザイン設計・施工会社のマッチングサービスです。
「流動的なリスク」に対応できる新しいパートナーがすぐに見つかる
固定化された取引先だけでは対応できない局面でも、「資材や設備の独自の調達ルートを確保している」「工期に融通が利く」といった、現在の状況に強い施工会社が、あなたの『急いでいる』『困っている』という条件に対して手を挙げてくれます。変化に強い新たなビジネスパートナーを効率よく見つけることが可能です。
1社1社の相見積もりより圧倒的なスピード感
従来のように馴染みの業者に断られた後、1社ずつ新しく連絡を取り、対応可否を確認しながら進める必要はありません。最初から「今、対応可能」な意欲ある会社に絞って比較・検討できるため、タイムロスを極限まで減らし、開業準備をスピーディーに進めることができます。
ナフサショックというかつてない逆風は、同時に「より時代に即した、最適なパートナーと巡り合うチャンス」でもあります。「モノが届かない」「工事が進まない」といったリスクをスマートに回避し、理想のオープンを確実なものにするために、まずは一度、新しい出会いを生み出す弊社のマッチングサービスにご相談ください。
店舗設計施工.com
記事の監修・執筆者
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株式会社ライフワン 古川原
所有資格:2級建築士、第2種電気工事士、石綿作業主任者、一般建築物石綿含有建材調査者
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店舗設計施工.com運営担当の古川原です。施主様、設計施工会社様にも満足いただけるよう皆様をサポートさせていただきます。
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