地下店舗の内装を成功させるには?照明・換気・ファサード設計がカギ

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執筆者:古川原

地下店舗の内装を成功させるには?照明・換気・ファサード設計がカギ

地下店舗は「賃料が安い」「好立地に出店できる」などの魅力がある一方で、「暗い」「湿気が多い」「入りづらい」といった独特の課題があります。

地下店舗を成功させるカギは内装設計にあります。この記事では地下店舗のメリット・デメリットや内装のよくある失敗例、業種別の注意点などをまとめました。地下店舗で開業をお考えの方はぜひ参考にしてください。

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地下店舗のメリット・デメリット

地下店舗(地下テナント)の内装を考える上で、まず押さえておきたいのがメリットとデメリットです。地上の店舗とは前提条件が大きく異なるため、それぞれの特性を理解したうえで設計コンセプトを組み立てることが重要になります。

地下店舗のメリット

地下店舗のメリットには、「家賃が比較的安い」「駅近など好立地に出店しやすい」といったコスト・立地面の優位性があります。特に都市部では、地上1階のテナントと比べて坪単価が抑えられるケースが多く、初期投資を抑えたい開業時には大きな魅力となります。

さらに、地下ならではの強みもあります。

  • 隠れ家感を演出しやすい
    地下へ階段を降りる動線は、それ自体が「特別感」や「非日常感」を演出します。
  • 防音性が高い
    地下は構造的に音が外へ漏れにくく、外部騒音の影響も受けにくいというメリットがあります。
  • 温度が安定しやすい
    地下は外気の影響を受けにくく、地上階よりも夏は涼しく、冬は比較的暖かい傾向があります。

地下店舗のデメリット

一方で、地下店舗には明確な弱点もあります。これらのデメリットを内装でどのようにカバーするのかが課題となります。

  • 視認性が低い
    通行人の目に入りにくいため、飛び込み来店は期待しにくいのが実情です。地上看板やファサード、階段周りのデザインが集客を左右します。
  • 入店までの心理的ハードルが高い
    地下へ降りる行為には、店内が見えない不安や緊張感といった心理的なハードルがあります。
  • 湿気・結露のリスク
    地下は地盤に囲まれているため、湿気がこもりやすい環境です。換気が不十分だとカビや結露、ニオイの原因になります。
  • 災害時のリスク
    豪雨時の浸水、停電時の避難動線確保なども検討しておく必要があります。非常灯や排水設備の確認は、事前に必ず行いましょう。

地下店舗の内装でよくある失敗例と具体的な対策方法

開業したあとで後悔しないために、地下店舗の内装でよくある失敗例をチェックしておきましょう。

1. 照明計画を軽視してしまった

地下店舗や地下テナントは、地上のお店と違い窓から自然光が入りません。つまり、照明の印象がお店の印象に直結するといっても過言ではありません。
時間帯による自然光の変化や窓による抜け感も演出できないため、光の向き・色味・明るさ・配置まですべてを計画的に設計する必要があります。

照明計画が不十分な地下店舗は「暗い」「重たい」「閉塞感がある」といった印象になりがちです。たとえばコストを抑えるためにダウンライトのみで構成してしまうと、天井高が限られる地下店舗では顔に影ができたり、圧迫感が強まることがあります。
反対に明るくしようとして白色で強い照明を多用すると無機質な雰囲気になり、リラックスしづらい空間になってしまいます。

地下店舗の照明は、空間の印象や安心感まで含めて計画することが重要です。以下のようなポイントを意識すると成功しやすくなります。

天井を明るくする

天井が低い地下店舗では、ダウンライトだけで照らすと光が下向きになり重たい印象に。間接照明を使って天井を明るく照らすことで空間が広く感じ、圧迫感を減らしたり、上に抜け感を出したりする効果が得られます。

光の層をつくる

全体照明だけでなく、壁面照明や足元照明、スポット照明を重ねることで、光に奥行が生まれ、地下特有の閉塞感を軽減することができます。
また、光を重ねることで強弱が生まれ、高級感のある洗練された空間づくりを実現できます。

業種に合った色温度にする

光には色味を数値で表した「色温度」があり、数値が低いほどオレンジがかった光に、高いほど白く青みを帯びた光になります。この色温度を業種に合わせてセレクトすることで、効果的な空間演出が実現できます。
以下はJIS規格に基づく色温度の目安です。

色温度
(JIS規格)
光の色 印象 向いている業種
2600K~3250K 電球色 オレンジ・リラックス 高級バー
3250K~3800K 温白色 柔らかい・温かみ 飲食店・サロン・整体
3800K~4500K 白色 自然な色合い・爽やか オフィス
4600K~5500K 昼白色 太陽の光に近い・イキイキ 学習塾・スクール・美容室
5700K~7100K 昼光色 青白い・すっきり クリニック・フィットネスジム・物販(家電系)

2. 湿気・カビ対策が不十分

窓がない地下店舗は空気の入れ替えが不十分になりやすく、また地面に囲まれているため湿気がこもりがちです。そのままにしておくとカビの発生や顧客の居心地の悪さにもつながってしまいます。

「エアコンがあれば換気は十分」と誤解されることがありますが、エアコンは基本的に室内の空気を循環させて温度を調節する仕組みのため、外と中の空気を入れ替える機能はありません。換気目的では使えないため注意が必要です(一部、換気機能を備えた機種もあります)。

躯体と仕上げ材の間に防湿層をつくる

地下店舗の内装では、デザイン以上に「見えない部分の施工品質」が重要です。
石膏ボード+クロス仕上げの場合、躯体の湿気がそのまま内装材に伝わり、クロスの浮きや黒カビが発生する原因になります。躯体と仕上げ材の間に防湿シートや断熱材、通気層を設けることで、湿気の侵入を防ぐことが可能です。

十分な換気計画を立てる

空気が滞留すると湿気だけでなく、ニオイがこもる原因にもなります。第一種換気(機械給排気)によって室内の空気を動かしたり、サーキュレーターや扇風機を併用して室内の空気を換気口に流すような設計が有効です。

除湿機を設置する

換気に加えて除湿も重視するポイントです。業務用除湿機や再熱除湿機能付き空調、24時間換気を取り入れ、室内の湿度を40~60%程度に保つことが理想です。

3. ファサードが弱い

ファサードとは店舗の正面部分を指しますが、地下店舗の場合は地上にある入り口(階段口)とその周辺のことを指します。
店舗全体が地上から見えないため、心理的な入りにくさが生じやすいのが地下店舗です。そのため、地上から地下のお店へと続くファサードの設計が重要になります。

地下店舗は「偶然入る店」ではなく「意図して入る店」になりやすいため、地上部分でどれだけ安心感を与えられるかが集客のポイントです。

「何のお店なのか」が瞬時に伝わるようにする

地下店舗は立ち止まってもらえる時間が短いため、業種・価格帯・雰囲気などが瞬時に伝わるファサード設計が重要です。
小さすぎる看板や、ロゴだけ・英語名だけの看板は、一見おしゃれでも何のお店か伝わらずにスルーされてしまうリスクがあります。階段口に設置した看板に店内の写真を掲載したり、メニュー・価格帯を明示することで、安心して入れるお店になります。

階段を明るくする

階段が「暗い」「狭い」「先が見えない」場合、心理的ハードルが上がって入りづらさを感じてしまいます。階段は明るく照らし、手すりなどもしっかりと見せることで安心感を与えることができます。
また、階段の一部をガラスにするなどして、階段の途中で地下の様子が見えるようにすることも不安感をなくす上で効果的です。

店内の様子を少し見せる

地上にあるお店は窓から店内をうかがうことができますが、地下店舗で隠れ家風にしようと完全に閉じたデザインにすると、何のお店なのか分からなくて入りづらい印象を与えてしまいます。
ガラス扉を採用したり、ドアを少し開けるなどして、不安感が軽減されるような工夫が必要です。

地下店舗に向いている業種とは

地下店舗は「静かで独立性が高く、非日常感を演出しやすい」という特性があります。この特性を活かしやすい業種には、以下のようなものがあります。

飲食店

隠れ家レストランやワインバーなど、落ち着いた空間で食事や会話を楽しむ業態と相性が良いでしょう。
外部の騒音の影響を受けにくいため、静かな空間づくりが可能です。

学習塾・スクール

地下は防音性に優れているため、学習環境として非常に適しています。
外部の騒音が入りにくく、集中しやすい空間づくりが実現できます。

美容サロン

会員制のサロンなど目的来店型の店舗と相性が良いでしょう。
照明計画によって高級感や特別感を演出しやすいというメリットもあります。

フィットネスジム

音や振動の問題が発生しにくいため、トレーニングジムにも適しています。
ただし、熱がこもりやすいため、空調・換気計画は慎重に行う必要があります。

地下店舗に向いていない業種

一方で、地下店舗の特性と相性が悪い業種もあります。

  • ベーカリー、テイクアウト専門店、コンビニ、低価格帯カフェ:「通りがかりに来店」「ついで買い」に依存する業種は視認性が重要
  • 高齢者向けの施設:エレベーターがない物件ではバリアフリー対応が難しい
  • 自然光が必須のフォトスタジオやアトリエ
  • 強い回転率が求められるランチ特化型飲食店や立ち食いそば店

まとめ:地下店舗の内装で失敗しないために

地下店舗の内装は、地上の店舗と同じ考え方では成功しません。視認性の弱さや湿気、閉塞感といった課題を正しく理解し、照明計画・換気計画・ファサード設計などを総合的に考えることで、地下特有のデメリットをカバーし、むしろ強みへと変えていくことが可能です。

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記事の監修・執筆者

  • 記事の監修・執筆者近影

  • 株式会社ライフワン 古川原

    所有資格:2級建築士、第2種電気工事士、石綿作業主任者、一般建築物石綿含有建材調査者

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