美容室の開業時に必要な保健所への届け出について解説

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記事の監修・執筆者:古川原

美容室の開業時に必要な保健所への届け出について解説

理容所・美容所は、管轄の保健所で営業許可を取らないと開業することができません。提出書類も多く、期限もきっちりと決まっているため、不安に思う方も多いのではないでしょうか。
今回は美容院の開業に必要不可欠の、保健所への「美容室の開設届」と開業の流れについて解説していきます。
なお、各種手続きの内容や様式は変更されることがあります。必ず美容室の開業場所の管轄保健所へ出向くなどして、最新の情報に基づいて手続きを進めていきましょう。

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1.開業届と開設届の違い

字面が似ているので混同したり、同じものだと間違えてしまう方がいるのですが、開業届と開設届はまったく違うものです。このページでまとめているのは、保健所へ提出する開設届の方です。

開業届

税務署に届け出るものです。新たに事業を開始した際に届け出るものですが、絶対に必要というわけではありません。ただ、開業届を出すことによるメリットは多く、青色申告で確定申告を行うなら必須となるため、開業届を出す美容院が多いです。

開設届

美容所開設届、理容所開設届のことで、提出先は保健所です。必ず提出が必要です。

2.美容室の開設手続きの流れ

2-1.保健所へ事前相談する

申請や手続き、設備工事を行う前に、美容室の設備が保健所の基準をクリアしているか、事前に開業場所の管轄保健所へ相談することが必要です。
工事前に相談するという点がポイントです。施設の平面図(内法での寸法や設備の配置がわかるもの)を持参して、窓口で相談してください。開設の○週間前までに相談するように案内が出ている場合もありますので、美容室の開業場所の管轄保健所サイトをしっかりとチェックしておきましょう。
なお、美容院内の構造設備を変更した場合は、施設の平面図(内法での寸法や設備の配置がわかるもの)を持参して事前相談した上で、変更届の提出が必要です。

2-2.開設届と必要書類を提出する

渋谷区を例に挙げると「理容所・美容所」のページで詳しく案内されています。
「理容所・美容所のてびき」を確認すると、現在記載されている開設時の必要書類は次の12種類。発行から一定期間内のもの、コピー不可のものがあるなど注意点もありましたので、事前にきちんと案内を読み込み、提出時に穴がないようにしておきたいですね。

01.開設届
02.構造設備の概要
03.施設の平面図
04.施設付近の見取図
05.従業者名簿
06.理・美容師免許証
07.診断書
08.管理理・美容師の講習会修了証
09.登記事項証明書(開設者が法人の場合必要)
10.住民票の写し(開設者が外国人の場合必要)
11.検査手数料
12.誓約書

提出書類イメージ

医師の診断書が求められるとは思っていなかったなど、初めは戸惑う方もいるようです。
なお、保健所により案内の内容や検査手数料の金額等は異なります。美容室開業の何日前までに届け出るよう目安が記載されている場合もありますので、必ず開業場所の管轄保健所サイトで最新の情報を確認し、案内に沿って用意しましょう。

参考:
渋谷区 事業者向け情報「理容所・美容所」

2-3.保健所の立入検査を受ける

管轄保健所の担当職員が実際に美容室を訪れて行う検査が、保健所の立入検査です。2.で提出した美容所開設届や書類のとおりに、美容室内の設備が整っているかを確認します。美容室はお客様の肌に直接触れることもある業種。衛生管理体制の十分な確認を行うことが、美容師法などの法令で定められているため、保健所による検査が必要なのです。
また、換気設備の構造や採光・照明の状況、汚物箱、毛髪箱が設置されているかといった点も確認されます。

ここでチェックされる構造設備基準には多くの項目があります。ですが、そのうちのどれか1つでも不適合だと是正が求められ、適合と判断されるまで開店できません
先程も参考として挙げた渋谷区を例に取り、いくつか抜粋してご紹介します。

客待場所…客待場所は、入口付近で作業室を通過しない場所に設け、作業室との間に区画等を設けること
区画に適するもの:固定したつい立て、動かせない家具壁や扉
区画に適さないもの:固定していないつい立て、カーテン、観葉植物

床・腰板(壁)…不浸透性材料(コンクリート、タイル、リノリウム、板等)を使用すること
適さないもの:たたみ、カーペット、ふすま、障子等

採光・照明・換気…採光・照明・換気を充分にすること
作業面照度:100ルクス以上、室内炭酸ガス濃度:0.5%以下

他にも項目はあり、また施設検査までに必ず用意するものも複数案内されています。管轄保健所の手引や案内をよく読み、検査時に慌てないよう備品購入なども済ませておきましょう。
また、立入検査当日は、営業時と同じ手順で設備や備品を使用してみるよう求められます。正しい手順を守っているかなどの確認ですね。使用や消毒手順など、検査前にリハーサルをして備えることをおすすめします

2-4.検査確認証が交付される

3.の立入検査までをクリアすると、保健所から検査確認証が交付されます。連絡が来るので、受領印を持って受取にいきます。確認証交付後でなければ美容院の営業はできませんので、注意してください。

まとめ

美容室イメージ

美容院の開業に必須の、開設届についてまとめました。開業届と字面が似ていますが、似て非なるものかつ、美容院の開業にあたっては避けて通れない手続きです。
開業を考え始めた時点で下調べを始めておき、いざ開業準備となった段階で慌てないようにしておきましょう。

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記事の監修・執筆者

  • 株式会社ライフワン 古川原

    保有資格:
    2級建築士
    第2種電気工事士
    一般建築物石綿含有建材調査者
    石綿作業主任者

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