飲食店の移転費用はいくらかかる?内訳の相場とコストを賢く抑えるポイントを解説

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執筆者:古川原

飲食店の移転費用はいくらかかる?内訳の相場とコストを賢く抑えるポイントを解説

「今の店舗が狭くなってきたので広い場所に移転したい」「人通りが多い立地へ移転して売上を伸ばしたい」など、飲食店の移転はビジネスを次のステージへ進める大きなチャンスです。

しかし、いざ移転を検討し始めると「トータルでいくらかかるのか読めない」「旧店舗の退去費用と新店舗の開店費用が重なって、資金が持つか不安」とお悩みのオーナー様も多いのではないでしょうか。

飲食店の移転は厨房や水回り工事が絡むため費用が大きくなりがちですが、内訳と相場感を把握し、賢くコストを抑えるポイントを知っていれば大幅な節約が可能です。
この記事では、飲食店移転にかかる費用の全貌と、具体的な節約テクニックを分かりやすく解説します。

飲食店の移転費用はいくら?トータル相場と内訳の全体像

飲食店を移転する際、最も意識しなければならないのは「旧店舗を閉めるためのお金」と「新店舗を開けるためのお金」が同時に発生するという点です。
まずは、移転にかかるトータル費用の規模感と、その全体像を整理しておきましょう。

トータル費用の相場は「500万〜1,500万円以上」

飲食店の移転にかかるトータル費用は、店舗の規模(坪数)や業態、新旧物件の状態によって大きく変わりますが、 一般的な小~中規模店舗(10~20坪程度)の場合、500万~1,500万円程度がひとつの目安となります。

思ったより高いと感じるかもしれませんが、これは新店舗の工事費だけでなく、旧店舗の解体費用や新物件の契約初期費用などもすべて含まれるためです。

費用の大部分を占める「3つの内訳」

移転費用は、大きく分けると以下の3つに整理できます。

1. 旧店舗の退去コスト(原状回復費用など)
これまで営業していた店舗を退去し、オーナー(ビルオーナー)に返却するための費用です。
解体工事や不要になった設備の処分費などが含まれます。
2. 新店舗の取得・施工コスト(物件初期費用・内装工事費)
新しい物件を借りるための保証金や前家賃、そしてお店のコンセプトに合わせた内装・設備工事の費用です。
移転費用の中で最も大きな割合を占めます。
3. 設備・引っ越し・その他のコスト
既存の厨房機器や備品を運び出す引っ越し費用、不足している機器の買い足し費、看板の付け替えや移転をお知らせする販促費(チラシやWEB更新など)です。

移転計画を立てる際は、新店舗のカッコいい内装だけに目が行きがちですが、 退去と開店の双方でかかる費用をモレなく予算組みすることが資金ショートを防ぐ鍵となります。

【項目別】飲食店移転にかかる具体費用と相場目安

飲食店移転のトータル費用を把握するために、それぞれの項目で「具体的にいくらかかるのか」の相場目安を見ていきましょう。

飲食店移転にかかる具体費用と相場目安

【旧店舗】原状回復費用の相場(坪単価5万~10万円)

旧店舗を退去する際、賃貸契約に基づいて入居時の状態に戻す原状回復工事が必要です。

飲食店の原状回復費用は、1坪あたり5万~10万円程度が相場です。
例えば15坪の店舗であれば、75万~150万円ほどかかる計算になります。
ダクトや給排水設備、コンクリートの打ちっぱなしまで解体・撤去するスケルトン戻しが基本となるため、飲食店だと一般的なオフィスよりも高額になりやすいのが特徴です。

【新店舗】物件契約初期費用の目安(賃料の6~12ヶ月分)

新店舗を借りるための初期費用として、保証金(敷金)、礼金、仲介手数料、前家賃などが発生します。

飲食店向けの物件では、未払いリスクや解体費用に備えて保証金が賃料の6~10ヶ月分と高く設定されていることが多く、 その他諸費用を合わせると総額で賃料の6~12ヶ月分程度が必要になります。
月額賃料が30万円の物件であれば、契約時だけで200万~350万円ほど手元に用意しておく必要があります。

【新店舗】内装・設備工事費の相場(居抜き vs スケルトン)

移転費用の中で最も金額が大きいのが、新店舗の内装・設備工事です。
これは物件が「居抜き」か「スケルトン」かで大きく異なります。

居抜き物件(前の店舗の設備が残っている)
坪単価相場: 15万~30万円
レイアウトや厨房設備をそのまま活かせるため、工事費を大幅に低く抑えられます。
スケルトン物件(剥き出しの状態)
坪単価相場: 30万~60万円以上
自由なデザインで作れる反面、インフラ引き込みやダクト工事、床上げ工事などがゼロから必要になるため高額になります。
特に重飲食店(焼き肉・ラーメンなど)は設備費用がかさむ傾向にあります。

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忘れがちな「引っ越し・厨房機器運搬・販促費」

見落としがちなのが、営業準備や移転に伴う雑費です。

厨房機器・備品の運搬費
10万〜30万円(大型冷蔵庫や製氷機などの専門運搬)
販促・オープン告知費
10万〜20万円(ショップカード、看板書き換え、WEBやSNS広告など)
ショップツール作成費
5万〜10万円(メニュー表、名刺などの印刷物の刷り直し)

これらも合算するとまとまった金額になるため、あらかじめ予算に組み込んでおくことが大切です。

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飲食店の移転費用を大幅に抑える4つのテクニック

飲食店の移転費用は数百万円〜1,000万円以上と高額になりがちですが、工夫次第で大幅にコストを削減することが可能です。
ここでは、オーナー様が知っておくべき4つの節約テクニックを紹介します。

1. 旧店舗を居抜き譲渡(造作譲渡)して原状回復費を削減する

旧店舗を退去する際、スケルトンに戻さず、内装や厨房設備をそのまま次のテナントに引き継ぐ居抜き譲渡(造作譲渡)ができれば、 原状回復費用(坪5万~10万円)をほぼゼロに抑えられます。

さらに、残した設備を次のテナントに買い取ってもらう造作譲渡料を得られる可能性もあるため、退去費用を払うどころかプラスの資金を作れる場合もあります。
まずはビルのオーナーや管理会社に、居抜き退去が可能か相談してみましょう。

2. 新店舗も居抜き物件を選び、厨房・水回りを再利用する

新店舗の工事費を抑える最も効果的な方法は、同業種の居抜き物件を選ぶことです。

特に飲食店で最もお金がかかるダクト・排気設備、グリストラップ(油脂分離阻集器)、吸排水・電気設備がそのまま使える物件を選べば、工事費をスケルトン物件の半額以下に抑えることも難しくありません。

3. 既存の厨房機器をそのまま移設・活用する

既存の厨房機器をそのまま移設・活用する

新店舗だからといって、全ての機器を新調する必要はありません。
状態の良い大型冷蔵庫、製氷機、コールドテーブルなどは、旧店舗からそのまま新店舗へ移設して使いましょう。

また、どうしても新しく買い足す必要がある場合も、新品にこだわらず中古の厨房機器やサブスク(定額レンタル)を活用することで、 オープン時の初期キャッシュアウトを大きく減らせます。

4. 内装工事は複数社への相見積もりで徹底比較する

新店舗の内装工事(C工事)を依頼する際は、1社だけに依頼せず、必ず複数の施工会社から見積もりを取る相見積もりを行いましょう。

同じ要望を伝えても、施工会社によって資材の調達ルートや得意な工事が異なるため、見積額に数十万~数百万円の差が出ることが珍しくありません。
相見積もりを行うことで適正価格が把握でき、コストダウンの交渉もしやすくなります。

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移転費用で失敗しないための注意点と資金繰りのコツ

飲食店の移転では、単に見積もりの金額を見るだけでなく、スケジュールや設備、活用できる資金面での工夫にも目を配る必要があります。
失敗を回避するための3つのポイントを押さえておきましょう。

1. 空室期間(二重家賃)の発生を最小限に抑える

移転時によく発生するのが、旧店舗と新店舗の家賃が重なる二重家賃の問題です。

旧店舗の解約予告(通常3〜6ヶ月前)を出すタイミングと、新店舗の契約・工事・引き渡しスケジュールの調整がうまくいかないと、営業できていない店舗の家賃を二重で支払い続けることになり、手元資金を圧迫します。
物件を探し始める段階から、解約猶予期間を逆算してスケジュールを組むことが大切です。

2. 業態による設備費用の差に注意する

居抜き物件を探す際は、必ず自社の業態に合った設備容量があるかを確認してください。

カフェなどの軽飲食から、ラーメン店や焼き肉店などの重飲食へ移転する場合、見た目は綺麗な内装でも「ガス容量が足りない」「排気ダクトが重飲食に対応していない」「グリストラップがない」といった問題が後から発覚することがあります。
追加の設備工事が必要になると、予定外の費用がかさんでしまうため注意が必要です。

3. 補助金や融資(補助金・日本政策金融公庫)を活用する

移転費用にかかる資金繰りを楽にするために、国の補助金や公的な融資制度の活用も検討しましょう。

小規模事業者持続化補助金
店舗の改装費や看板設置費、移転を知らせる広報費(チラシやWEB)の一部が補助対象になる場合があります。
日本政策金融公庫の融資
移転に伴う設備資金・運転資金として、無担保・無保証で利用できる融資枠を活用し、キャッシュを手元に残しておくことができます。

公募時期や要件を事前に確認し、内装の打ち合わせと並行して準備を進めておくとスムーズです。

まとめ:賢い移転計画は納得のいくパートナー選びから

飲食店の移転は、旧店舗の退去から新店舗のオープンまで、さまざまな費用が複雑に絡み合います。
トータル費用を賢く抑え、納得のいく店舗づくりを進めるためには、以下のポイントを意識することが大切です。

  • 旧店舗は居抜き譲渡、新店舗は居抜き物件を優先して探す
  • 二重家賃を防ぐために、退去と開店のスケジュールを逆算して組む
  • 新店舗の内装工事は、複数社から相見積もりを取って比較する

そして何より重要なのが、自社の業態や予算に合った、信頼できる内装業者を確実に見つけることです。

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記事の監修・執筆者

  • 記事の監修・執筆者近影

  • 株式会社ライフワン 古川原

    所有資格:2級建築士、第2種電気工事士、石綿作業主任者、一般建築物石綿含有建材調査者

  • 店舗設計施工.com運営担当の古川原です。施主様、設計施工会社様にも満足いただけるよう皆様をサポートさせていただきます。
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