自宅カフェを開業する場合の物件条件や資格、費用相場をチェック!

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記事の監修・執筆者:古川原

自宅カフェを開業する場合の物件条件や資格、費用相場をチェック!

「たくさんの人に自慢のコーヒーを飲んでほしい」「おしゃれで美味しいスイーツをみんなに食べてもらいたい」など、カフェの開業を夢見ている人は多いでしょう。でも、いきなりお店を持つのは開業にかかるコストなどの部分でハードルが高く感じますよね。
そんな人に注目されているのが「自宅カフェ」です。自宅を住居兼カフェにリフォームすることで、新たに物件を借りるよりも安く開業ができます。本記事では、自宅でカフェを開業する際に確認したい物件の条件や必要な資格、費用相場などについてまとめました。

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自宅カフェを開業するメリット・デメリット

自宅でカフェを開業する場合、まず開業資金を安く抑えられるというメリットがあります。店舗用の物件を借りるための保証金や仲介手数料といった物件取得費が不要ですし、毎月の家賃もかかりません。開業資金が抑えられる分、仮に失敗したとしてもリスクは少ないといえるでしょう。
また自宅が職場となるため、通勤にかかる時間や交通費もカットできます。さらに、普段は違う仕事をしている人が週末だけカフェを営業するといった限定的な開業も可能です。

デメリットはテナントに比べて集客力が弱いこと。また不特定多数の人が出入りするため自宅のセキュリティー強化が必要なことや、ご近所トラブルに発展しやすいことなどが挙げられます。

自宅カフェを開業する前の確認ポイント

自宅をカフェにする前に、まずその場所でどのような営業が可能かを確認する必要があります。
自宅が立っているエリアの用途地域によっては店舗面積に制限が設けられていますので、事前に確認しておきましょう。

用途地域を調べる

用途地域とは、都市計画法によって建築できる建物の種類や用途の制限を定めたルールのこと。住居系8つ、商業系2つ、工業系3つの計13エリアに分類されています。
ご自宅がどの用途地域に属しているかは「用途地域マップ」を使えば簡単に調べることができます。市区町村のホームページなどでも確認できるでしょう。2つの用途地域にまたがっている場合もありますので、判断が難しい場合は自治体の都市計画課等にお尋ねください。

参考:用途地域マップ

13地域のうち工業専用地域以外は自宅カフェを開業できますが、住居系地域では店舗面積の制限がありますので注意が必要です。一番厳しい第一種低層住居専用地域では、店舗兼用住宅で店舗床面積が50㎡以下、かつ建築物の延べ面積1/2未満にしなければならないという制限があります。50㎡は約15坪で、1坪あたりの席数は1.5~2.5席が目安となりますから、6~10席程度のお店が開業できる計算になります。

飲食店が出店できる用途地域と店舗スペースの面積制限

用途地域 店舗スペースの制限
第一種低層住居専用地域 店舗兼住宅で、店舗床面積50㎡以下かつ建築物の延べ面積1/2未満
第二種低層住居専用地域 店舗床面積150㎡以下かつ2階以下
第一種中高層住居専用地域 店舗床面積500㎡以下かつ2階以下
第二種中高層住居専用地域 店舗床面積1500㎡以下かつ2階以下
第一種住居地域 店舗床面積3000㎡以下
第二種住居地域 店舗床面積10000㎡以下
準住居地域
田園住居地域 店舗床面積150㎡以下で2階以下
※その地域で生産された農作物を使用する場合は店舗床面積500㎡以下かつ2階以下
近隣商業地域 店舗床面積の制限なし
商業地域
準工業地域
工業地域 店舗床面積10000㎡以下
工業専用地域 住宅、店舗ともに建築不可

スペースを明確に分ける

自宅カフェといっても、自宅で使っているキッチンをカフェと共用できるわけではなく、居住スペースと店舗スペースは明確に分ける必要があります。
分け方には、カフェと居住スペースを1階と2階で分ける上下分離型と、建物の前方と後方で分ける縦割り分離型があります。

上下分離型は店舗とプライベート空間を明確に分けやすいですが、2階の足音が階下へ響かないように防音リフォームなどが必要です。縦割り分離型は居住スペースとカフェスペースを行き来しやすいというメリットがあります。
いずれにしても店舗と居住スペースが隣接していますので、防犯やプライバシーへの対策が必要です。お店から居住スペースが見えないようにする、防犯カメラを設置するといった対策を取りましょう。

マンションの場合は管理会社に確認を

マンションで自宅カフェを開業したい場合は、用途地域のルールに従うだけでなく、マンションの管理会社へ確認する必要があります。マンションによっては、カフェ等の営業を禁止している場合があるためです。

周辺環境をリサーチする

自宅カフェもビジネスである以上、お客様が来なければ商売が成り立ちません。もともと繁華街にあるテナント物件と違い、住宅街にある自宅カフェは集客面で不利になります。交通アクセスの悪い場所なら、近くに駐車場があるかどうかも集客に関わってきます。
周辺に人が集まる場所があるか、どのような客層が見込めそうか、集客しやすい時間帯はいつかなど、周辺環境を細かくリサーチしましょう。

周辺環境をリサーチする

集客方法を考える

周辺環境をリサーチしたら、どのような集客方法が有効かを考えます。カフェのオープンを知らせるチラシを配ったり、SNSでの告知や表通りに看板を立てるのも効果的です。
集客効果が表れるまで時間がかかりますので、カフェがオープンする前から行っておくことが重要です。

保健所へ相談する

自宅でカフェを開業したいと思ったら、先に保健所に相談しておくことを強くおすすめします。
相談時に、自宅カフェの図面などを持参するとスムーズです。自宅カフェの開業には保健所に営業許可をもらう必要があるため、書類や手続きなどを確認し、抜け漏れがないようにしておきます。

自宅カフェの開業に必要な資格と許可

自宅カフェを開業するためには、食品衛生責任者の設置と、飲食店営業許可証の取得が必要です。

食品衛生責任者

食品衛生法で定められた規則に従い、施設における衛生管理の中心的役割を担う責任者。1店舗につき1名以上設置することが義務付けられています。
この資格は、栄養士や調理師などの資格を持っている人、もしくは自治体等が実施する食品衛生責任者の養成講習会を受けた人なら誰でも取得できます。養成講習会の受講料は1万円程度、講習も1日程度で終わります。

営業許可証

カフェで調理を行う場合は「飲食店営業許可証」、すでに製造されたものをそのまま提供するだけなら「喫茶店営業許可証」の取得が必要です。
リフォーム工事が終わる10日~2週間前を目安に必要な書類を作成して保健所に提出、そのあと保健所による施設の立ち入り検査を受けます。申請書類の提出から許可証がもらえるまでに2~3週間かかりますので、余裕を持ったスケジュールで進めるようにしましょう。

保健所の主な検査項目

保健所の主な検査項目

保健所の検査をクリアするためには、建物や設備が安全で衛生的であることが重要です。東京都を例に検査項目の一部をご紹介します。

営業施設の共通基準

  • ・床はタイルやコンクリートなど、耐水性材料で排水がよく、清掃しやすい構造
  • ・内壁は床から1メートルまで耐水性で清掃しやすい構造
  • ・照明は50ルクス以上の明るさ
  • ・ネズミ族や昆虫等の防除設備がある
  • ・食品や器具等を洗うための流水式洗浄設備と、従業員専用の手洗い設備および消毒装置が設置されている
  • ・食品や器具類を衛生的に保管できる設備がある
  • ・冷蔵、殺菌、加熱、圧搾等の設備には見やすい場所に温度計および圧力計を備えている
  • ・トイレは作業場に影響のない位置および構造で、従事者に応じた数を設けている

業種ごとに定められた特定基準(飲食店の場合)

  • ・冷蔵設備:食品を保存するために十分な大きさを有する冷蔵設備を設けること
  • ・洗浄設備:洗浄槽は2槽以上。ただし食洗機がある場合または簡易な調理を行う場合で衛生上支障がないと認められるときはこの限りではない
  • ・給湯設備:洗浄および消毒のための給湯設備を設けること
  • ・客席:換気設備を設け、明るさは10ルクス以上とすること
  • ・トイレ:お客様の使用するトイレを調理場に影響のない場所に設け、ネズミや昆虫などの侵入を防ぐ設備を設けること。また、専用の手洗い設備があること

参考:東京都保険医療局「食品関係営業許可申請の手引」[PDF]

自宅カフェの開業にかかる費用

最後に気になる費用について解説します。
自宅をカフェにする場合、必ず保健所の検査をクリアするためのリフォームが必要となります。今住んでいる家をそのままカフェにできるわけではないので、ご注意ください。

自宅カフェの内装費は工事内容や立地などによっても変わりますが、坪単価20万円~50万円程度が目安となります。

  • ・壁や床を清掃しやすい素材に替える
  • ・居住スペースとカフェスペースを明確に区切る
  • ・カフェ用の厨房を設ける
  • ・お客様用のトイレを設置する

といった内装工事が必要です。
そのほか、2槽シンクや手洗い器、製氷機、エスプレッソマシンといった設備費もかかります。
自宅カフェは物件取得費やテナント料などはかかりませんが、内装費や設備費は一般的なカフェの開業とさほど変わりません。開業資金は少なくとも500万円程度は見ておいた方がいいでしょう。

まとめ

自宅でカフェを開業する場合の物件の条件や資格と許可、費用相場についてお伝えしました。
毎月賃料が発生するテナントの場合、コンスタントに売り上げを上げることが求められますが、自宅カフェの場合はそれが不要ですので、一時的に休業することも可能です。夫婦どちらかがカフェを運営し、もう片方が別の仕事を続けている場合、リスクを最小限にしながらカフェの開業が可能です。
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記事の監修・執筆者

  • 株式会社ライフワン 古川原

    保有資格:
    2級建築士
    第2種電気工事士
    一般建築物石綿含有建材調査者
    石綿作業主任者

    記事の監修・執筆者近影

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