
全国に約15,000店舗以上あると言われる焼鳥屋。焼鳥専門店でなくても、焼き鳥をメニューに加えている飲食店は数多く存在します。
焼鳥屋はカウンター調理が中心で、煙対策が欠かせません。また、火を扱うため設備要件が多く、小規模なお店でも設備投資が必要です。
この記事では、焼鳥屋の内装工事にかかる費用相場をはじめ、必要な設備や失敗しないためのチェックポイントを詳しく解説します。焼鳥屋の開業をご検討中の方はぜひ参考にしてください。
焼鳥屋の内装工事にかかる坪単価の目安
焼き鳥店の内装工事費用は、デザインにもよりますが、居抜き物件の場合で坪単価20万~60万円程度、スケルトンだと60万~120万円程度が目安になります。
たとえば20坪のお店なら居抜きで360万~1,100万円、スケルトンで1,200万~2,200万円程度かかる見込みです。
初期費用をなるべく抑えて開業したい場合は、厨房設備が充実している居抜き物件を選ぶと良いでしょう。反対にスケルトン物件は内装や設備をすべて自分で揃える必要がありますが、内装の自由度が高く、思い通りのお店を実現しやすいというメリットがあります。
焼鳥屋の開業には内装工事費以外にもさまざまな費用が発生しますので、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。
店舗規模別の費用目安
坪単価は店舗面積が広くなるほど下がります。そこで、焼鳥屋に多い10坪・20坪・30坪の内装費用目安をご紹介します。
焼鳥屋は他の飲食店に比べて空調設備・排気ダクト・厨房設備が高額になりやすい傾向があるため、予算をやや多めに見積もっておくと安心です。
| 店舗の広さ | 居抜き物件(既存設備あり) | スケルトン物件(内装なし) |
|---|---|---|
| 小規模店(10坪) | 約 200万円 ~ 600万円 | 約 700万円 ~ 1,200万円 |
| 中規模店(20坪) | 約 360万円 ~ 1,100万円 | 約 1,200万円 ~ 2,200万円 |
| 大型店(30坪) | 約 450万円 ~ 1,500万円 | 約 1,650万円 ~ 3,000万円 |
地域によって異なる費用相場
焼鳥屋の内装費用は、出店エリアの物価や施工業者の人件費などによっても変動します。
ここでは代表的な関東・関西エリアのほか、焼鳥屋の激戦地ともいわれる九州エリアの費用相場をご紹介します。
関東の焼鳥屋の費用相場
| 店舗の広さ | 居抜き物件(既存設備あり) | スケルトン物件(内装なし) |
|---|---|---|
| 10坪 | 約 402万円 ~ 656万円 | 約 803万円 ~ 1,312万円 |
| 20坪 | 約 627万円 ~ 1,119万円 | 約 1,253万円 ~ 2,239万円 |
| 30坪 | 約 787万円 ~ 1,446万円 | 約 1,575万円 ~ 2,892万円 |
関西の焼鳥屋の費用相場
| 店舗の広さ | 居抜き物件(既存設備あり) | スケルトン物件(内装なし) |
|---|---|---|
| 10坪 | 約 364万円 ~ 594万円 | 約 727万円 ~ 1,188万円 |
| 20坪 | 約 567万円 ~ 1,013万円 | 約 1,134万円 ~ 2,026万円 |
| 30坪 | 約 713万円 ~ 1,309万円 | 約 1,425万円 ~ 2,618万円 |
九州の焼鳥屋の費用相場
| 店舗の広さ | 居抜き物件(既存設備あり) | スケルトン物件(内装なし) |
|---|---|---|
| 10坪 | 約 331万円 ~ 541万円 | 約 663万円 ~ 1,083万円 |
| 20坪 | 約 517万円 ~ 924万円 | 約 1,034万円 ~ 1,847万円 |
| 30坪 | 約 650万円 ~ 1,193万円 | 約 1,299万円 ~ 2,386万円 |
このように九州・関西・関東の順に高くなります。もっと細かく内装費用相場が知りたい場合は、次にご紹介する無料シミュレーションをご利用ください。
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施工費やランニングコストにも影響する「焼き台」の種類と特徴
焼鳥屋に欠かせない設備といえば焼き台(焼き鳥台)です。焼き台は大きく分けて炭・ガス・電気の3タイプがあり、それぞれ小型から大型まで豊富にラインナップされています。
焼き台は味や煙量、施工費、ランニングコストなどにも大きく影響するため、特徴やメリット・デメリットをふまえて慎重に選びましょう。
1. 炭火焼き台
炭火の遠赤外線効果によりふっくらと焼き上がる炭火焼き台は、炭の香りもついて本格的な仕上がりに。味の差別化がしやすく、炭火焼きであることがお店の強みに直結します。
また、火力が強いためスピード提供にも向いており、カウンターの目の前で焼けばライブ感も演出できます。
3種の焼き台の中ではもっとも美味しく焼けると言われており、本格焼鳥店で多く採用されています。
デメリットは煙量が非常に多く、ダクトや排気設備にかかる施工費用が高額になることです。また、備長炭にかかるランニングコストも無視できないでしょう。
2. ガス式焼き台
バーナーの火で焼くタイプで味と施工性、コストのバランスが良くもっとも普及しているタイプです。製品によっては、炭火焼に近い焼き上がりを再現できるタイプもあります。
煙量は炭火焼き台に比べて控えめで、排気ダクトにかかる施工費も軽く済む場合が多いでしょう。
また、火加減の調節が容易にできることから、焼く人の技術負担が少ない点もメリットです。
デメリットは、炭火のような香りは再現しづらく、炭火焼にこだわるお店と比べて味のインパクトがやや弱い点です。
3. 電気式焼き台
火を使わない電気式焼き台は設置要件がゆるく、シンプルな排気ダクトで済むため施工コストが最安。
煙量が少なく、一酸化炭素の発生もないため安全性に優れています。商業施設や地下物件などで採用されやすいタイプです。
デメリットは火力が弱めで、ボリュームのある串には不向き。また香ばしさも表現しづらいため、味の差別化が難しい点です。
3つの焼き台の中では、電気焼き台がもっともコストを安く抑えられ、導入しやすいでしょう。排気ダクトや耐火対策も最小限で済み、炭に比べて扱いが簡単なことも、電気式焼き台が導入しやすい理由です。
味にこだわるなら炭火焼き台、コスト重視なら電気焼き台、バランス型はガス焼き台がおすすめです。ただし、席数の多い店では焼くスピードの速い炭火かガスが適しています。
失敗しない焼鳥屋内装工事のチェックポイント
ここでは焼鳥屋ならではのよくある失敗例をまとめました。施工の前にチェックしておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
1. 排気・給気の設計不足
焼鳥屋は油煙が非常に多いため、性能の高い専用ダクトが必須です。
ダクト径が細いと煙を吸いきれず、店内が白くなる原因に。十分な径のものを選びましょう。
また壁面排気の場合、煙やニオイが近隣に漏れてクレームに発展することがあるため、排気の向きには注意が必要です。さらに、給気不足で煙が店内に逆流したり、ドアが開きにくくなったりすることもあります。
焼鳥屋にとって、排気と給気のバランス設計は最重要項目として捉える必要があります。
2. 焼き台の選定ミス
焼き台の選定によっては、排気設備や消防設備、ランニングコストなどが大きく変わります。
特に炭火焼き台は、炭置き場・消火用砂・火消しつぼなどが必要になり、内装の不燃化などの追加工事が発生します。
また、商業施設ではそもそも炭火禁止の場合もあるので、焼き台を選ぶ際はご注意ください。
3. 客席レイアウトが煙や熱を考慮していない
オープンキッチンの場合、焼き台と客席があまりにも近すぎると「煙が客席に流れてニオイがつく」「熱気が不快」といった顧客満足度に大きく影響します。
客席と焼き台は最低でも80~100cm程度離し、熱や煙が客席に影響を与えないように設計します。空調の風向きやサーキュレーションも調整して、煙の流れをコントロールしましょう。
4. 清潔で使いやすいトイレになっていない
飲食店のトイレはリピート率を左右する重要ポイント。特に女性客はトイレでお店を評価するとも言われています。
トイレは客席から行きやすく、厨房を通らない場所に配置します。古いトイレはリピート率を下げる要因になるため、キレイで清掃しやすい最新式トイレを導入しましょう。これだけでお店の評価が上がり、滞在時間にも好影響を与えます。
【まとめ】コンセプトを明確にして、集客を成功させよう
焼鳥屋の内装工事を成功させるためには、焼き台や排気設備の選定が重要ですが、明確なコンセプト設計も欠かせません。コンセプトによって内装デザインや物件選びが変わってくるためです。
コンセプト設計は、次のような項目をもとに考えていくとスムーズです。
ターゲット客層を決める
まずは「誰のための店なのか」を考えます。ターゲット客層が明確でないと、メニューや価格帯、内装がちぐはぐになります。
- 仕事帰りのサラリーマン向け:低価格帯、回転率を重視
- カップル・女性客向け:清潔感、雰囲気重視
- 家族連れ向け:席間ゆったり、価格帯は中〜安
- インバウンド向け:日本らしい演出、串の説明
価格帯を決める
ターゲットが決まれば、おのずと価格帯も決めやすくなります。
- 1本100〜150円:にぎやかな大衆酒場向け
- 1本180〜250円:コスパ重視の人気店
- 1本280〜450円:産地鶏やブランド鶏、希少部位を提供する小規模な高単価店
焼き方を決める
焼鳥店は焼き方(焼き台)でコンセプトがほぼ決まるといっても過言ではありません。
- 炭火焼き:香りと味に強みがあり、ライブ感も演出できる。本格派、価格は少し高め
- ガス式:バランスが良く、大衆店から中価格帯までカバーできる
- 電気式:安全でクリーンな商業施設内のお店。カジュアル、女性向け
内装イメージを決める
メニュー・ターゲット・価格帯・焼き方に合った内装イメージの方向性を決めます。
- 大衆酒場風:木材と提灯・のれんの組み合わせで親しみやすく
- 和モダン:カウンター中心、炭火のライブ感
- 隠れ家・小料理店風:暗めの照明で、席間は広く取る
- ファミリー向け:清潔感を重視した白木、ゆったり広めの席
ターゲット・価格帯・焼き方が決まったら、看板メニューはどうするか、立地との相性、キャッチコピーなどを決めて、より具体的にイメージしてみましょう。
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