飲食店の内装工事費用相場と成功のポイント【2025年最新版】

飲食店内装工事は「水・火・空気」がポイント

飲食店の内装工事は、美容院やアパレルと比べて給排水・ガス・排気ダクト工事といった「水・火・空気」に関わる設備工事が大きな特徴です。
特に厨房設備は高額になりやすく、工事費全体の大部分を占めます。
調理機器の配置や配管・電源容量の確保は、開業後のオペレーション効率にも直結するため、初期段階での計画が重要です。

物件タイプによる違い（スケルトン物件と居抜き物件）

飲食店の内装工事費用は、物件の状態によって大きく変わります。

スケルトン物件

仕上げがすべて撤去された状態で、レイアウトを一から設計できます。
自由度が高い一方、給排水やダクト工事を含めてゼロから施工するため、工事費は高額になりがちです。

居抜き物件

前のテナントの内装や設備を活かせるため、初期費用を抑えやすいのがメリットです。
ただし、厨房機器や配管が劣化している場合は追加工事が必要になることもあります。

このように、スケルトンか居抜きかによって「内装工事の特徴」と「費用相場」は大きく異なるため、 物件選びの段階で工事予算をシミュレーションしておくことが大切です。

法律・規制を考慮した工事が必須

飲食店は、消防法・建築基準法・保健所の衛生基準など、法令遵守が欠かせません。
火を扱う店舗は防火設備や換気量の規定、アルコールを提供する店舗では深夜営業の届け出が必要になるケースもあります。
これらの規制を満たさないと営業許可が下りないため、内装工事を依頼する際は飲食店工事に強い業者を選ぶことが重要です。

飲食店内装工事の坪単価の目安

こちらが飲食店の内装工事費用の坪単価の目安です。
ここ数年のインフレや材料費・輸送費等のコストの上昇に伴って上昇傾向があります。

居抜き物件は既存の厨房機器や設備を再利用できるため、初期費用を抑えやすい傾向があります。
ただし、老朽化や不具合がある場合は修繕・交換の追加コストが発生する点には注意が必要です。
一方、スケルトン物件は自由にレイアウトできる反面、すべてを新設するため機器代・工事費が高くなりやすい特徴があります。

工事内容ごとの費用内訳

飲食店内装工事の費用は、大きく次のような項目に分かれます。

内装工事の費用は、物件の状態や業態によって大きく変動します。
特に厨房設備は、調理工程が多い業種ほど高額になりがちです。
ここで、居抜き物件とスケルトン物件それぞれのケースを例に、予算の使い方をシミュレーションしてみましょう。

居抜き物件のカフェ（予算300万円）

居抜きなので厨房設備・解体は控えめ、内装・家具で雰囲気をつくるイメージです。

スケルトン物件のイタリアン（予算1,000万円）

スケルトンなので解体・基礎、厨房設備工事が大きな割合を占めます。

このように、居抜き物件では初期設備を活かせる分、内装や家具で個性を出しやすく、 スケルトン物件ではゼロからつくり込むために、解体や基礎、厨房設備といった土台部分の費用が中心となります。
物件の状態によって、予算の配分は大きく変わることがわかります。

物件タイプ別の費用感（スケルトンと居抜き）

飲食店内装工事の費用は、物件タイプ（スケルトン／居抜き）に加えて、地域や坪数によっても変動します。
下記の表は一般的な費用相場の目安です。

関東の飲食店の費用相場

店舗の広さ	居抜き 費用目安(税抜)	スケルトン 費用目安(税抜)
小規模店（10坪）	約 375万円 ～ 613万円	約 750万円 ～ 1,225万円
中規模店（20坪）	約 585万円 ～ 1,045万円	約 1,170万円 ～ 2,090万円
大型店（30坪）	約 735万円 ～ 1,350万円	約 1,470万円 ～ 2,700万円

関西の飲食店の費用相場

店舗の広さ	居抜き 費用目安(税抜)	スケルトン 費用目安(税抜)
小規模店（10坪）	約 339万円 ～ 554万円	約 679万円 ～ 1,109万円
中規模店（20坪）	約 529万円 ～ 946万円	約 1,059万円 ～ 1,891万円
大型店（30坪）	約 665万円 ～ 1,222万円	約 1,330万円 ～ 2,444万円

※あくまで一般的な目安であり、デザインのグレード・厨房機器の仕様・工事範囲によって変動します。

さらに「カフェ」「ラーメン屋」「寿司屋」などの詳しい業種で調べたい場合や、「デザイン設計のみ」または「施工のみ」の費用相場が知りたい方は、 下記の「内装費用シミュレーション（無料）」で算出いただけます。

カフェの内装工事費用の特徴

カフェは「居心地の良さ」や「デザイン性」が重視される業態です。
SNSで映える内装や落ち着ける空間づくりが集客に直結するため、照明・家具・内装材などのデザインにコストをかけるケースが多いです。
一方、厨房は軽飲食に対応できる規模で十分なことが多く、調理設備にかかるコストは比較的抑えやすい傾向があります。

居酒屋・バルの内装工事費用の特徴

居酒屋やバルは、大型厨房設備と排気・防火工事が必要になるため、内装費用の比重が高くなります。
揚げ物や焼き物を提供する場合は、強力な換気ダクトやグリスフィルター、防火仕様の天井や壁材が求められるケースも。
さらに、客席数が多い業態のため、テーブルや椅子など什器の数も増え、全体の費用を押し上げる要因となります。

ラーメン店の内装工事費用の特徴

ラーメン屋は、厨房設備の比率が非常に高いのが特徴です。
製麺機や大型のゆで釜、強力な換気設備、油脂を処理するグリストラップなど、初期投資が大きくなります。

その分、客席はシンプルなカウンター席やテーブル席に抑えることが多く、ホール部分の内装は比較的安価に済ませられるケースもあります。

レストラン（洋食・和食）の内装工事費用の特徴

レストランは料理ジャンルやサービス形態によって、内装工事の内容が大きく変わります。
フレンチやイタリアンでは、オープンキッチンの演出やワインセラー設置など、演出に関わる設備投資が増える傾向があります。
和食店では、木材や天然素材を多用したカウンター造作、畳や障子を取り入れた個室設計など、職人による造作工事が多く、コストが高くなりやすいです。

1. 業態に合った内装設計を優先する

業態ごとに求められる内装や厨房設備は異なります。
カフェなら居心地やデザイン性、居酒屋やバルなら厨房の効率や回転率、高級レストランなら非日常感や演出が重要です。
ターゲットとなる顧客像を明確にし、業態に合った内装設計を優先することが、集客と売上につながります。

2. 物件選びと工事範囲を明確にする

スケルトン物件は自由度が高い一方で工事費用がかさみやすく、居抜き物件は初期費用を抑えやすいものの既存設備の状態に左右される、といった違いがあります。

大切なのは、物件を選ぶ段階でどこまで改装が必要か、どの設備を活かすかを明確にすることです。
事前に工事範囲を整理しておくことで、予算オーバーや想定外のトラブルを防ぎやすくなります。

3. 厨房動線と客席配置を最適化する

厨房の動線や客席配置は、開業後の運営効率に直結します。

• 厨房作業とホールサービスがスムーズに連動する動線
• 客席間の通路幅やテーブル配置で快適性を確保
• 調理機器や収納の配置を最適化してスタッフの作業負荷を軽減

これらを考慮した内装設計は、運営コスト削減やサービス品質向上につながります。

4. 複数業者の見積もりで費用を比較する

内装工事の費用感は業者によって大きく差があります。
複数の施工会社から見積もりを取り、内容・価格・工期を比較することで、無駄なコストを削減し、より理想的な店舗デザインを実現できます。

5. デザイン性と機能性のバランスを意識する

店舗デザインは集客力に直結しますが、過剰なデザインは厨房設備や安全性、掃除のしやすさなどの機能面を犠牲にすることがあります。
デザイン性と機能性のバランスを意識した内装設計を行うことが、長く愛される店舗づくりの秘訣です。