ドライキッチンとウェットキッチン、飲食店の厨房はどちらがおすすめ?

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記事の監修・執筆者:古川原

ドライキッチンとウェットキッチン、飲食店の厨房はどちらがおすすめ?

飲食店の厨房には、ドライキッチンとウェットキッチンの2種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらが向いているのかは業態や提供するメニューによって異なります。

本記事ではドライキッチンとウェットキッチンの特徴、メリット・デメリットを紹介するとともに、どのような飲食店に向いているのかについて解説します。

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ドライキッチンとは

ドライキッチンとは、床に水を流して清掃することができない厨房のことを指します。基本的には乾いた状態のため、カビや雑菌などが発生しづらく、衛生的に保ちやすいという特長があります。
カフェやベーカリーなど、水や油を多く使わない業態に適しています。

衛生的で安全!ドライキッチンの4つのメリット

1.掃除しやすく衛生的

ドライキッチンには汚れの溜まりやすい側溝がなく、床面がフラットなので掃除しやすいという特長があります。また、基本的に乾いているため、カビやバクテリアなどの雑菌の発生を抑えることができます。
飲食店にとって衛生管理がしやすい点は大きなメリットでしょう。

2.厨房機器が錆びにくい

ドライキッチンは水や湿気が少ないため、厨房設備や機器、食器などが錆びにくく、良好な状態を保ちやすいのが特長です。
高価な厨房機器を長く使用できるため、結果的にコストの削減にもつながるでしょう。

厨房機器が錆びにくい

3.足元が滑りにくく安全

ドライキッチンは床が乾いていることから、滑りにくく安全です。また、水はけのための傾斜がないため、厨房内での転倒によるケガのリスクも軽減できます。

4.工期が短く、施工費用も抑えられる

ドライキッチンの床は、樹脂製のシートを敷いて耐水性の高い塗料を上から塗るといった工法が一般的です。ウェットキッチンに比べて工期が短く、費用も比較的安く抑えることができます。

ドライキッチンのデメリットは?

1.水で濡れてしまったときの処理が大変

ドライキッチンも耐水処理はしていますが、大量の水がこぼれたときはすばやく拭き取り、乾燥させる必要があります。
水を多く使う厨房ではリスクが高いため、あらかじめ水を吸い込むことができる業務用の掃除機などを備えておく必要があります。

2.耐用年数が短い

しっかりと防水処理を施すウェットキッチンに比べて、ドライキッチンは耐用年数が短いとされています。
上に塗っている耐水性の塗料は5年ほどではがれてしまうため、何度も塗りなおす必要があることからメンテナンスのためのコストがかかります。

3.換気設備にコストがかかる

水や湿気に弱いドライキッチンは、常に乾燥状態をキープするため、換気を良くする必要があります。換気ダクトを多めに設置するなど、換気設備に関するコストがかさみがちです。

ウェットキッチンとは

ウェットキッチンとは、床面に防水工事を施した厨房のことです。水を大量に流しながら清掃できるので、油汚れなど頑固な汚れも落としやすいという特長があります。

床に油などが飛び散りやすい中華料理店やお好み焼き店、ファーストフード店、居酒屋などに向いています。

ウェットキッチンとは

長く使えて経済的!ウェットキッチン3つのメリット

1.水を撒きながら掃除ができる

床面にしっかりとした防水処理が施されているため、水を撒きながらの清掃が可能です。汚れ具合が激しい場合、ホースなどで水を撒いて掃除した方が汚れを早く落とすことができ、掃除の効率化が図れます。

2.耐用年数が長い

ウェットキッチンは下処理をしっかり行う設計のため、耐用年数が10~20年と長いのが特長です。
床材のメンテナンスを行う際は、厨房機器などの移動が必要になることがありますが、ウェットキッチンは長期間の使用に耐えられるため、頻繁な移動などの手間を減らすことができます。

3.保健所の許可が下りやすい

飲食店を開業するには保健所の許可をもらう必要があります。保健所の共通基準では、床面は「タイル、コンクリート等の耐水性材料を使用し、排水がよく、かつ、清掃しやすい構造であること。ただし、水を使用しない場合は、厚版等を使用することができる。」とされています。

ウェットキッチンは排水設備が整っており、床に傾斜があるため水はけが良い構造になっています。また床を水洗いできることから、衛生的に保つことができます。
カフェなど軽食の提供をメインとするお店を除き、飲食店ではウェットキッチンの方が保健所の許可が下りやすい傾向があります。

ウェットキッチンのデメリットは?

1.菌や悪臭の問題

常に床が濡れているウェットキッチンは、バクテリアやカビなどの菌が繁殖しやすい環境といえます。また悪臭のリスクもあるため、定期的な消毒や清掃などにより衛生管理を徹底することが大切です。

2.転倒のリスクがある

床が水で濡れているため滑りやすく、また水はけのために傾斜が設けられていることから、転倒などのリスクが高いでしょう。厨房では長靴など滑りにくい靴が適しています。

3.初期費用が高い

ウェットキッチンはドライキッチンに比べて、水はけのための床の傾斜や下地の処理、防水工事、排水設備など、たくさんの工事が必要になります。費用は高額になり、工期も長くなりがちです。

また、厨房からの排水に含まれるゴミや油脂などを分離・収集する「グリストラップ」の設置も義務付けられており、これに対する費用も必要です。

飲食店の防水工事【種類と費用相場】
ウレタン防水 4,000円~6,000円/㎡
FRP防水 9,000円~10,000円/㎡
塩ビシート防水 5,000円~7,000円/㎡

1坪は約3.3㎡のため、厨房面積が5坪の店舗では66,000円~165,000円程度かかる計算です。

ドライキッチンはどのような飲食店に向いている?

ドライキッチンは床が乾いているため、あまり水や油を使わない業態に適しています。また、キッチンをオープンにして「見せるキッチン」を重視する店舗デザインにもおすすめです。

具体的には、カフェやベーカリー、焼き菓子店、テイクアウト専門店、軽いおつまみ程度を提供しているバルやワインバー、スイーツショップ、ジェラート店など。

また、大型商業施設のテナントでは、衛生面や悪臭の問題からドライキッチンを推奨しているところもあります。

ドライキッチンはどのような飲食店に向いている?

ウェットキッチンに向いている飲食店は?

水や油を多く使う業態にはウェットキッチンがおすすめです。たとえば大量の湯を使って麺をゆでるラーメン店やうどん・そば店、味噌汁や煮物など煮炊きが多い定食屋、和食料理店、揚げ物や炒め物で油が飛びやすい中華料理店、洋食店、焼肉店、居酒屋、串揚げ店など。

また、大量の料理をさばくホテルや旅館のレストラン厨房や、生ものを扱う寿司店などもウェットキッチンが向いています。

まとめ

ドライキッチンとウェットキッチンの特徴や、それぞれのメリット・デメリットについてご紹介しました。
ドライキッチンはドリンクや軽食がメインの飲食店に適しており、それ以外の飲食店にはウェットキッチンがおすすめです。

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記事の監修・執筆者

  • 株式会社ライフワン 古川原

    保有資格:
    2級建築士
    第2種電気工事士
    一般建築物石綿含有建材調査者
    石綿作業主任者

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